※画像はイメージです/PIXTA

争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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新卒社員が直面した残酷すぎる社会の洗礼

【ブラック企業の事例】

 

専門学校でプログラミングを学んだAさんは、従業員30人ほどのIT企業(以降、B社)に入社しました。B社は面接時、給与を月額25万円と提示していました。「普通の大卒の給与よりも多いじゃないか。専門技術を学んだ甲斐があったな」とAさんは意気揚々でした。

 

ところが入社初日…。

 

「就職おめでとう。ってことで、これとこれとこれをお願いな。明後日までだから」

 

いきなり上司は、Aさんに研修指導を一切することなく、受注したホームページ作成の仕事を複数押し付けたのです。

 

(え…いきなりこの量をやれと…?)戸惑ったAさんでしたが、助けを求めることもできず、任された仕事を手探りではじめます。なんとか作業は終わりましたが、入社から3日連続で会社に泊まる羽目になってしまいました。

 

プログラミング自体は苦痛ではなかったAさん。(しっかりお金がもらえるなら)と懸命に仕事をこなしました。しかしさらなる悲劇がAさんを襲います。

 

入社から1ヵ月、初めての給与明細を見て、Aさんは絶句しました。

 

「え…」
 

残業代115時間分を引くと、基本給は15万円しかないのです。残業時間も実際の時間より減らされているような気がします。話が違うと思いました。

 

「あの…これお給料が少ない気がするんですが…」Aさんは上司に聞いてみました。しかし上司は「そうか? まあ、なぜこうなったか社長に聞いてみるよ」と言ったきり、回答はありません。Aさんの不信感は募っていきます。

 

その後、仕事に慣れてきて作業がスムーズになる…ことはなく、それどころか、ますます多くの仕事を振られるようになり、1ヵ月に200時間の残業もザラになってしまいました。

 

朝会社に行くことを考えると、毎日お腹が痛くなります。(この会社はブラック企業ではないのか!?)とAさんは思いはじめていましたが、新卒ですぐ辞めると自身の経歴に傷がつくからと、なかなか退職できずにいました。

 

しかしストレスは溜まる一方。お腹の痛みも深刻になっています。(もう無理だ…)そう思ったAさんは、最近退職を決断し、上司に伝えました。

 

「会社を辞めさせてください」

 

しかし上司はまた「わかった、考えておく」と言ったきりでした。

 

その後も仕事を大量に振られます。「そんなにできません」と伝えても「ほかのみんなに迷惑がかかるぞ」と脅されます。やむを得ず受けてしまい、どんどん手元の仕事が増えて、辞めるに辞められない状況です。

 

心身ともに限界を迎えたAさんは、弁護士事務所へ相談に行きました。

 

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