(※画像はイメージです/PIXTA)

開業医にとって「跡継ぎ問題」は深刻な課題です。「わが子にクリニックを継がせたい」と考える開業医は少なくありませんが、医師への道は決して容易ではなく、親の期待と願いが子どもへの多大なプレッシャーとなってしまうケースも…あります。自身もクリニックを経営する医師であり、数多くのクリニックのコンサルティングを行ってきた蓮池林太郎氏が解説します。

中高校生は、親以上に「塾の環境」に影響される

通常、文系か理系かを決めるのは高校1年生の秋以降で、高校2年生の春から分かれます。その際に理系を選べるよう、数学を苦手科目にしないことが大切です。そのため、中学生のころから数学の塾に通わせている開業医もいます。

 

また、中学1年生から大学受験向けの塾に入る子どももいます。医学部専門の塾であれば、同じく医師の子どもたちが医学部を目指して切磋琢磨している環境です。

 

中学生や高校生になると、親以上に学校や塾の先生や仲間の価値観に影響を受けるので、そういった価値観の環境を用意する必要があります。

 

子どもに「勉強しなさい!」と怒るだけでいいのなら、どの親も苦労はしないはずです。しかし現実には、多く親が勉強しない子どもに苦労しています。

 

親のいうことを聞き入れやすい中学受験とは異なり、子ども自らが「医学部に合格するために勉強したい」と思う状態にすることが大切です。現役で医学部に合格できなくても、一浪、二浪してでも合格する、という粘り強さも必要かもしれません。

「私立医学部」のメリット・デメリット

私立医学部であれば、英語、数学、理科2科目に勉強を絞ることができます。成績にもよるかもしれませんが、国立と私立両方を狙うよりも、私立に絞った方が勉強しやすいでしょう。

 

学費面では、私立医学部は高額ではありますが、後継ぎになる可能性があるのであれば、投資する価値は十分あるかもしれません。

 

私立医学部は開業医の子どもが多く、同級生の大多数は開業医になります。

 

その他のデメリットとしては、私立医学部のほうが進級試験が難しいということがあります。

「開業医の子ども」にかかるプレッシャー

筆者自身情報収集するにつれ、医学部が非常に狭き門であることを再認識しました。

 

開業医の子どもも親からのプレッシャーもあり、心の病気を抱えてしまう子どももいます。高校生くらいになると、親子関係が悪化したり、「医者だけにはなりたくない」と反抗したりするケースも少なくありません。

 

開業医の子どもで、親からのプレッシャーに押し潰されそうになりながらも医者になったという筆者の友人のなかには、「自分の子どもは別に医者を目指さなくていい。自分のなりたい職業につけばいい」と本心で思っている人もいます。

 

子どもを医者にしたい開業医の親も大変ですが、なにより、開業医の子ども自身が一番ツラい立場なのかもしれません。

 

 

蓮池 林太郎

新宿駅前クリニック 院長

 

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