(※画像はイメージです/PIXTA)

4-6月期決算発表の会見においてインフレに言及する米国企業が相次いでいる。企業にとってインフレはコストインフレを意味し、コスト増加分を製品やサービス価格に十分転嫁することができなければ収益性が低下しかねないため、インフレに関するコメントが増えたとしても不思議ではない。決算会見から米国企業が直面するインフレ・リスクについて読み解いてみた。

インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る

幅広い業種でインフレ圧力が顕在化

4-6月期決算発表の真っ只中にある米国企業からは、これまで以上にインフレに対するコメントが散見された。コロナ禍における供給網のボトルネックや原材料不足、経済正常化への進展に伴うペントアップ(先送り)需要の顕在化などから米国ではインフレ圧力が高まっており、広範にわたる業種においてインフレ対応は収益性を左右しかねない重大な課題となっている。その深刻な状況が主要企業の決算会見から読み取れる。

 

直近決算会見から抜粋、期間:2021年6月25日~7月23日 ※一部意訳含む 出所:ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表]コストインフレや供給網に関する米国主要企業の見解 直近決算会見から抜粋、期間:2021年6月25日~7月23日
※一部意訳含む
出所:ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

スポーツ用品を手掛けるナイキは、サプライチェーンの遅延と物流コストの上昇が22年度(会計年度)の大半の期間にわたって続くと予想しているほか、半導体のインテルも半導体供給が完全に需要に追いつくにはあと1~2年はかかると予想している。また、化学メーカーのダウも2021年は主要製品のバリューチェーン全体で需要が供給を上回るとの見解を示している。さらに、宅配ピザチェーンのドミノ・ピザは人員確保が困難だったと発表しており、モノの供給不足だけでなくヒトの供給不足もインフレ圧力につながる可能性が浮き彫りになっている。

インフレ圧力が「一過性」にならない場合は注意が必要

しかし、米国企業もインフレに対して手をこまねいているわけではない。例えば、鉄道運営会社のCSXは重要な材料に関してはすでに十分な在庫と供給コミットメントを確保しているほか、食品・飲料メーカーのペプシコも(必要な原材料等を)事前に調達済みだ。平時から長期契約やデリバティブ契約によってコストの変動を抑える取組みを行っている企業は、インフレ圧力に対して依然として余裕があると言える。

 

また、足元で需要過多となっている業界やブランド力のある企業は容易にコスト増加分を製品/サービス価格に転嫁することが可能だ。例えば住宅建設業者のDRホートンは、事業環境が良好なためコスト圧力を値上げで相殺できるとコメントしているほか、コカ・コーラもブランド力があればコスト上昇分を価格転嫁できると自信を示している。

 

今のところマーケットは現状程度のコストインフレであれば価格転嫁可能だと判断しているようだが、インフレ圧力が「一過性」にならない場合は企業の価格決定力に差が出てくる可能性があるため注意が必要だ。特に業績相場へシフトしつつある状況下では、(価格決定力は業績に影響を及ぼすため)なおさら重要な指標になりうる。今後もインフレ動向からは目が離せない。

 

 

※個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『決算会見から読み解く米国企業のインフレ・リスク』を参照)。

 

(2021年7月26日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/6開催】
インドネシア「バリ島」で不動産を持つ!

 

【11/6開催】不動産オーナーなら
知っておきたい「輸入高級家具」の世界

 

【11/7開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【11/7開催】GAFAM+Nは終わる?
米テクノロジー産業の見通し
2025年に向けた「米国経済・株式市場」
と「米国株」運用術

 

【11/7開催】税負担も軽減!
富裕層だからできる
気軽な「海外プチ移住」の進め方

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録