株式投資家の不安心理を助長させた米国経済指標 (※画像はイメージです/PIXTA)

市場関係者の間で広がりつつあった「景気減速」に対する警戒感を高める米国の経済指標が7月16日に発表された。普段はあまり注目されない経済指標ではあるが、いまの米国経済が抱えるリスクを端的に示す内容だっただけに、セクター別の物色動向にも変化があらわれた。

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株式投資家の不安心理を助長させたのは「米ミシガン大学消費者マインド指数」

米ミシガン大学が米国内の個人を対象としたアンケート調査で消費者マインドを指数化した「米ミシガン大学消費者マインド指数」が大幅に市場予想を下回った。7月16日に発表された同指数(7月速報値)は80.8となり、市場予想の86.5を大きく下回る結果となった(図表1)。

 

月次、1966年=100、期間:2020年7月~2021年7月 2021年7月は速報値、市場予想は2021年7月(ブルームバーグ集計) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

[図表1]米ミシガン大学消費者マインド指数と市場予想 月次、1966年=100、期間:2020年7月~2021年7月
2021年7月は速報値、市場予想は2021年7月(ブルームバーグ集計)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

この指数は消費(景気)動向を予測するうえで比較的先行性が高い指標のひとつとして注目されているため、市場関係者の間で広がっていた「景気減速」に対する警戒感を高める結果につながったと考えられる。

1年先の期待インフレ率上昇が下振れの背景

この「米ミシガン大学消費者マインド指数」が下振れるきっかけになったのが、期待インフレ率の高まりだ。米ミシガン大学が算出する1年先の期待インフレ率(個人の物価予想)は7月に+4.8%となり、過去1年間で大きく上昇した(図表2)。

 

月次、単位:%、期間:2020年7月~2021年7月 2021年7月は速報値 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米ミシガン大学1年先期待インフレ率 月次、単位:%、期間:2020年7月~2021年7月
2021年7月は速報値
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

ミシガン大学によれば、住宅や自動車、家庭用耐久財の値上がりに対して個人の不満が高まっており、このような足元の物価上昇率の高まりが将来の物価見通しにも影響を及ぼし、消費者マインドの低下につながった可能性がある。

直近5日間のセクター別騰落率ではディフェンシブセクターが上位に

直近5日間(7月9日~16日)のMSCI先進国株指数におけるセクター別騰落率を見ると、米インフレ上振れに伴う景気減速懸念などを背景に公益(+1.3%)、生活必需品(+0.8%)、不動産(+0.4%)といったディフェンシブ(景気に対して比較的耐性がある)セクターが、騰落率の上位となっている(図表3)。

 

週次、配当込み、円建て、期間:2021年7月9日~7月16日 MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD)を円換算 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]MSCI先進国株指数のセクター別騰落率(5日間) 週次、配当込み、円建て、期間:2021年7月9日~7月16日
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD)を円換算
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

一方、OPECプラス協調減産の縮小観測で大幅安となったエネルギー(-6.2%)は個別要因による影響が大きかったものの、一般消費財サービス(-2.3%)、金融(-1.3%)、資本財サービス(-1.2%)といった景気敏感セクターが、騰落率の下位となっていることが分かる。

 

このようなセクター別の物色動向が、決算シーズン前の一時的なポジション調整なのか、それとも景気減速に備えた本格的なセクター・ローテーションなのかは、今後の米インフレ率の趨勢(すうせい)がカギを握るだろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『株式投資家の不安心理を助長させた米国経済指標』を参照)。

 

(2021年7月19日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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