解法の流れを理解することが最低条件
何度も繰り返しますが、式を丸暗記することと「暗記数学」は別物です。暗記するのは、あくまでも解き方の手順です。解き方の手順を覚えるために、解法の流れを理解することが最低条件となります。
文系の数学なら500~600パターンを暗記すれば、よほど変わった問題以外は、ほぼ対応できるはずです。理系の場合は700~800パターンがおおよその目安となります。
もちろん、暗記した解法の問題がそのまま出題されるわけではありません。
ひとつの解法パターンと別の解法パターンを組み合わせたような問題もありますが、解法がたくさん頭の中に入っていれば、どの解法を組み合わせればよいかを考えることができます。いくつかの解法を組み合わせて試行錯誤すれば、たいていの問題は解けるようにできています。
要するに、難しい問題に出くわしたときに、解法をたくさん覚えていれば、どれかをこの問題に使えるのではないかという、方針がいくつか立つわけです。
ひとつ目のやり方でうまくいかなくても、解法のストックが多ければ別のやり方が試せます。
こうしているうちに、たいていの問題が解けるわけですし、それでも解けない問題は、ほかの受験生も解けない数学オタクだけが解ける「捨てていい問題」と考えていいのです。
暗記数学が身についているかを確認するポイントは、同じ問題を1週間後に解いて正答できるかどうかです。
自分では解法を身につけたつもりでも、1週間後に同じ問題が解けなかったら、身についていないということです。
1週間後に同じ問題を解くことができたら、さらに1か月後、3か月後と時間をおいて、解法をきちんと覚えているかをチェックしてみましょう。
ところで、私は万人に暗記数学という手法をすすめているわけではありません。特に数学がもともと得意な生徒や数学的思考力に優れた生徒は、あえて暗記数学を使う必要がないと考えています。
こういった生徒は、自分のやり方で問題を解いたほうがよいと思います。暗記数学を試してみて合っているようなら使い、合わないようなら別のやり方を試す。
これは、あらゆる勉強法に共通する原則です。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長