ケース1:創業5年、従業員60名のデザイン会社
◆事業規模:役員と従業員60名
◆採用制度:企業型DC
◆目的と効果:
・会社の体制強化のため
・役員には、5万5,000円を拠出
・一般社員には、勤続年数に応じた掛金を拠出
・従業員の働くモチベーションアップに貢献
創業から5年、40代のAさんは経営者として非常に意欲的で、これからどんどん事業を拡大していこうと考えています。現在社員は60名、今後求人も積極的に行なう予定で、できれば今の時代に合った退職金制度を考えたいと思っていました。
従来の社内で退職積立金を準備する方法では、損金計上ができないので、決算上何のメリットもありません。中小企業退職金共済制度(中退共)という選択肢もありますが、社員が退職した際に積み立てた退職金が会社とは別団体から支払われるので、それもあまりしっくりきません。
また、社員が会社を辞める時にしか手に入らない退職金より、むしろ今頑張っている社員が会社からの資金援助を理解し、モチベーションアップにつながるような制度を導入したいと考えています。
そこで導入したのが、企業型確定拠出年金(DC)です。掛金は勤続年数で差を設けて、社員が長く勤めることにメリットを感じられるように工夫しました。
会社が負担する掛金は、全額損金計上でかつ社会保険料の算定対象となりません。Aさんは、全従業員になにか手当をつけようかとも考えていましたが、それだと社会保険料の負担も増えるし、従業員も手当に対して所得税負担が増えるので、それであれば、確定拠出年金のほうがメリットが大きいと考えたのです。
ただ、Aさんの懸念事項としては、従業員がまだ若いためか、将来について考えたり、資産形成について学んだりという姿勢が少ないということがありました。これについては、定期的に社内で経済や資産運用などを学ぶ機会を設け啓もうしていきたい考えです。実際、経済の知識を持つことは仕事に活かせるので、教育にもしっかり力を入れていくとのことでした。
Aさんと創業当初から一緒に頑張ってきてくれた副社長には、役員規程として掛金は会社から満額の5万5,000円を拠出していくことにしました。
2022年からは、企業型DCは70歳まで掛金拠出が可能になるので、社長と同年代である副社長に対しても、運用利回りを1.5%程度と相当低く見積もっても2,500万円くらいの退職金は見込めるのではないかと考えています。
確定拠出年金は、受け取る際も退職所得控除あるいは公的年金等控除など有利な受け取り方を選べるため、税金を抑えて引き出しができるところも非常に有利な制度であると判断されました。
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