(※写真はイメージです/PIXTA)

iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、従業員300名以下の中小企業が加入できる、企業型DCとiDeCoのハイブリットのような仕組みを持った年金制度で、2018年に始まりました。本記事では、国が中小企業にiDeCo+の導入を後押しする本当の狙いを考えていきます。※本連載は、山中伸枝氏の著書『会社も従業員もトクをする!中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業経営者…費用を抑えて社員の老後を支援したい

経営者の多くは、従業員の老後の支援策として導入するのは、個人型より企業型のほうがメリットが大きいとおっしゃいます。制度導入を機に、従業員研修もしっかり行ない、掛金拠出という会社からの支援とマネーリテラシー向上により、従業員のモチベーションアップを図る会社も増えてきました。

 

一方、運営管理機関があまり積極的に情報提供をしておらず、企業型の制度そのものの知識がないとか、あったとしても、会社としての導入時及び月々の費用負担、教育の義務、加入者の範囲が広いことによる掛金の負担が気になって、企業型導入に踏み切れないという会社もあります。

 

そういう事情も、厚生労働省は理解したのでしょう。中小企業の経営者が費用を気にせず、従業員の老後支援に乗り出せるように新しく導入された制度が中小事業主掛金納付制度、iDeCo+です。

 

iDeCo+は、あくまでもiDeCoですので、作れる老後資金は月2万3,000円の掛金が上限です。また、そのうち会社が出せる事業主掛金は1,000円から2万2,000円と決まっています。

 

会社が拠出する掛金は企業型確定拠出年金同様、会社の損金計上が可能です。法定福利費の負担も不要なので、給与を増やすより会社の経済的負担は少なくて済みます。従業員への福利厚生を拡充しながら、法人税の圧縮につながるのもうれしい点でしょう。

 

iDeCo+には、制度導入費用や月々の費用は存在しません。なぜならば、それら費用はすべてiDeCo加入者本人が負担するからです。会社として負担する金額は、掛金のみです。

「iDeCo+」導入のプロセスと必要書類

会社としてiDeCo+を導入することを決めたら、必要な書類を国民年金基金連合会に提出します。これがiDeCo+を導入する際のプロセスです。iDeCo+は、あくまでもiDeCoをしている従業員に掛金をアドオンする制度なので、運営管理機関を決めるというプロセスは必要ありません。

 

制度導入に際し労使で決めることは、掛金をいくら出すのかです。それさえしっかり決めたら、「iDeCo公式サイト」にある、iDeCo+導入に必要な書類を順番にダウンロードして国民年金基金連合会に提出します。書類受理から2ヵ月から3ヵ月程度で制度を開始することができます。

 

書類が複数あり、記入方法がわかりにくいという声もありますが、「iDeCo公式サイト」では記入例なども丁寧に準備されていますので、参考にするとよいでしょう。

 

導入後に必要な届出
導入後に必要な届出

 

また、事業主掛金額の決定や、拠出対象者の資格に関する同意書、社内規則の整備用として就業規則に追加する規程案なども掲載されています。

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会社も従業員もトクをする!中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方

会社も従業員もトクをする!中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方

山中 伸枝

同文舘出版

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