(写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、ニッセイ基礎研究所が2020年3月6日に公開したレポートを転載したものです。

投資信託・ETFを通じた金への投資

ここで、投資信託を通じた金への投資では、投資信託は投資家から受け取った資金を金地金や金先物に投資する。このため、投資信託を通じた金への投資は、実態としては、いくつかのパターンがある。図表2は投資信託を通じた金への投資フローを示したものである。

 

図表2 投資信託を通じた金への投資フロー
[図表2]投資信託を通じた金への投資フロー

 

(1)投資信託から金地金に投資する。(2)投資信託から金先物に投資する。(3)投資信託から金ETFに投資する。といったケースに分けられる。ここで、(3)の手法では、「SPDRゴールドシェア」や「iシェアーズゴールド・トラスト」といった資産残高の大きいETFを投資先とする場合が多い。

 

規模のメリットにより、金地金の保管などのコストを抑えることができる。しかしながら、投資信託を通じてETFに投資する場合、投資信託とETFの両方の信託報酬を支払うこととなる。このように、金投資信託は表面的には同じように見えても、その中身は様々であることに注意したい。

金先物への投資に係るコスト

金先物への投資は、株式先物などと同様に、金先物取引は現物資産の裏付けを持たない点が現物取引と異なっている。したがって、先物は現物との価格差が生じる。

 

図表3はニューヨーク金先物(NY金先物)の限月と価格の関係を示している。これを見ると、期先(決済期日までの期間が長い)ほど価格が高く、期近(決済期日までの期間が短い)ほど価格が低いことが分かる。

※先物取引は取引を行える期間が決まっており、この満期日を限月とよぶ。

 

先物を買う場合、現物を持たずに、対象資産の価格変動による収益(または損失)を得ることができる。このため、一般的に先物は現物資産の保管コストや金利などに加えて、収益を得る可能性の分だけ現物よりも価格が高くなることとなる※。

※一般的には、先物は決済期日までの期間が短いほど、価格が低い場合が多い。しかし、金利や対象資産の需給などにより、この逆(決済期日までの期間が短いほど、価格が高い)の場合もある。

 

先物を継続的に保有した場合上記のコスト(キャリーコストとよぶ)を支払い続けることとなる。2025年12月限の先物を決済期日まで保有した場合、金現物価格の変動の影響を除けば、保有する先物の価格は▲6.9%下落(年率換算▲1.1%)することとなる。

 

図表3 NY金先物の限月と価格の関係(2021年1月末時点)
[図表3]NY金先物の限月と価格の関係(2021年1月末時点)

 

ここで、キャリーコストは状況により変動するため、将来のコストは変動することに注意したい。このため、先物の保有によるキャリーコストは一般的には明示的に示されないことが多い。金先物(投資信託を通じた投資を含む)に投資した場合、当然にこのようなコストを負担することとなる。

まとめ

以上で、金への投資方法について簡単に説明した。金への投資方法としては、金地金・金貨、純金積立、金先物、CFDといった方法がある。投資信託を通じた金への投資では、投資信託によって、投資対象が異なっている。

 

金先物への投資では、投資期間中はキャリーコストを負担することとなることに注意が必要だ。それぞれの投資方法の特徴を理解した上で、コストとメリットのバランスを考えて効率的に収益を獲得したい。

 

 

原田 哲志

ニッセイ基礎研究所

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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