(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価の上値が重い展開が続いている。日本では新型コロナウイルスの感染対策で東京都に4回目の「緊急事態宣言」が出され、東京五輪は首都圏4都県は無観客の方針が固まった。今後、株価はどう動いていくのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

本当に今が売り時、買い時なのか冷静に判断

◆「もうはまだ、まだはもう」の相場格言(チャートで冷静に判断)

 

売り時、買い時の判断は難しいものです。これがわかれば苦労しません。

 

「ここが売り時」と思ったら、そこから大きく上昇、反対に「ここが買い場」と思ったら一段安に、というのはよくある話です。

 

それを最もよく表わしたのが、相場格言の「もうはまだなり、まだはもうなり」で、これは江戸時代、米相場が活発化していたときから数百年の間、言われ続けてきました。現代でも通用する格言であるのは言うまでもありません。

 

常に、本当に今が売り時なのか、買い時なのかを立ち止まって考えるべきだという。(※画像はイメージです/PIXTA)
常に、本当に今が売り時なのか、買い時なのかを立ち止まって考えるべきだという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

これは戒めの格言であり「底だと思えるようなときは、まだ下値があるのではと考えなさい。反対に、まだ下がると思えるときは底かもしれないと考えなさい」といった意味で、下げだけではなく上げでも使います。

 

相場というのは、多くの人の見方から形成されるもの。売りと買いが一致したところで価格が決まりますが、自分の見方通りになるとは限りません。売りたい人、買いたい人──自分以外の投資家がどう考えるかが最も重要で、独善的な考えで臨むと失敗することが多いのが株の世界なのです。常に、本当に今が売り時なのか、買い時なのかを立ち止まって考えるようにしましょう。

 

とにかく、「ここで売りたい」「買い戻したい」と、いずれか思ったときは一度冷静に考えるべきです。

 

自分自身の〝勘〟も大事でしょう。第六感などをまったく否定するつもりはありません。ですが、運に頼った売買は、当たっているときは当たり続けますが、いったん流れが悪くなるとはずれ続けるということもあります。

 

せめて、チャートを活用して、そのときの株価が過去との比較でどうかを判断基準とし、さらに、現在の企業価値と比べて割安か割高かくらいはチェックするようにしましょう。

 

さて、「つなぎ売り」をする場合、カラ売りをするタイミングについて考えてみます。

 

この場合、利益が出ている、損失が発生しているなど、自分の都合を判断基準にしてはなりません。それこそ「まだはもう」の世界に陥ってしまうリスクが高くなります。

 

過去に私がアドバイスした投資家のなかで、相当な眼力の持ち主がいました。テクニカル、業績のいずれの分析にも長け、常に客観的に株価を判断し、「この銘柄は底」と言えばほぼ底値、「これ以上、上がらない」と言えばほぼ天井。「こんなに銘柄を見る目があるのなら、私のアドバイスなんかいらないじゃない」と思ったほどです。

 

ところが、この方、たしかに買うときは底値でドンピシャでしたが、いったん保有すると、「『売り』と言うはず」と思う水準まで上がっても売りません。買ったとき、「このくらいまで上がったら利食いますよ」と言っておきながら、その水準に達しても売りそびれて〝いってこい〟に……。

 

「なぜ、あのとき売らなかったのですか?」と聞いたら、「いやぁ、自分で持つとね。〝まだ上がる〟とつい思っちゃうんだよ。だから、今度は売り場と思ったときに、ボクの背中を押して、売るようにアドバイスしてください」と答えました。

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世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

「株の売り方」について解説した本です。 普通、株式投資というと「株を買う」 、値上がった株を売って儲ける、または配当や株主優待を得るというものですが、本書は「株を売って儲ける」ということに重点を置いています。 …

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