死後の悲惨な親族トラブルを防ぐ…「相続の終活」
相続はとても難しい問題です。親族皆で相談をして納得して分配できれば美しいのですが、額にかかわらず、多くの遺族が争続になっています。相続問題は莫大な財産がある人たちだけの話と思いがちですが、むしろ財産が少ない場合のほうが揉めるケースが多いようです。財産が多い場合はあらかじめ相続問題を考えていますが、一般的な財産額の場合、生前にケアしないケースが多いからです。
ですから、財産についての自身の意思を生前から明確にしておくことが大事です。
法務省のホームページを見ると自筆証書遺言書の様式が紹介されています。無地のA4サイズの紙に民法に定められた形式で、財産目録以外はすべて自書で記すとされています。そのほか、細かな注意事項も記されているので、参考にしてください。また、2020年からは法務局で自筆証書遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」も始まりました。
そのほか、法律で認められる遺言書には、公証役場で作成する2種類があります。一つは、公正証書として公証役場に常駐する公証人が作成する公正証書遺言、もう一つが、公証人を立てずに公証役場で制作する秘密証書遺言で、後者は誰にも内容を知られたくないという場合に利用されています。私も、公証役場に出向いて、相談をしました。
こうした遺言書が法的効力をもつのは、財産面と身分面のみ。身分面は、認知しなければいけない子どもがいるとか、法定相続人が未成年の場合、後見人指定をしなければいけない場合などです。
また、遺言書は、相続の希望が変わった際には何度でも書き直せます。年末やお正月など節目のときに見直すと決めておくといいと思います。遺言書は最新のものが有効とされます。
遺言執行人を相続人にしてはいけない納得理由
正式な遺言書は遺言執行人(公証役場や弁護士など)によって、大切に保管され、死亡確認ができたあとに開封されますが、遺言執行人は相続人ではないほうがいいと思います。相続人が遺言執行人の場合、ほかの相続人にあらぬ誤解を与えることもあります。余計な揉めごとを避けるためにも、遺言執行人は信頼できる第三者を勧めます。
ちなみにせっかく書いた遺言書が無効になるケースもあります。それは、遺言書を書いた人が15歳未満である場合と、認知症と診断された場合です。遺言書の話をすると、「まだまだ先に考えればいい」という人も多いですが、年齢を重ねると認知の心配も増えてきます。実際には、遺言書は、元気なうちに記すべきものなのです。
また、死亡時に遺言執行人が死亡を知らずに、遺言書を読んでくれないケースもあります。親族には遺言を書いたことと遺言執行人の存在を知らせておくほうがいいでしょう。
ちなみに、自身の財産は一度明確にしておくほうがいいと思います。預貯金、株式、投資信託、不動産などを書き出してまとめておけば、相続のイメージも湧きやすく、さまざまな施設やサービスなど将来かかる予算の把握もできます。併せて、誰かにお金を貸している場合や自身の借入金などがある場合には、それらも明記しておくといいでしょう。
保険を「見直す」べストな年齢は、40代、50代
終活を始めるのが40代、50代とまだ若い場合は、自身の保険を一度見直してみましょう。無駄な保険に入っていたり、逆に保険が必要だと感じることもあると思います。
そのうえで、保険や公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)や企業年金、個人年金保険の情報をまとめます。
生命保険は被保険者の死亡後、一定期間内に保険金請求をしなければ、請求権を失ってしまいます。せっかくかけた保険が無駄にならないよう、あらかじめ家族に伝えておきましょう。
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