尊厳死、臓器提供…遺志を「事前に」伝えることが大切
■医療について
「病気の告知について」はどうしてほしいか。現状では、重篤な病気になった場合、希望をなにも伝えていないと、医師が病状告知をすることが多いようです。
すべての人が自分の病状を正確に知りたいわけではないと思います。臆病だから、重篤な病気と知って余命宣告を受けたら、生きる気力を失くしてしまう、という人だって、いますよね。
ですから、まずは「告知してほしい」か「告知してほしくない」かの希望を家族に伝えておくといいと思います。
また、告知の場合、「病名のみを知りたい」「今後の治療法を知りたい」「余命を詳しく教えてほしい」など細かい希望もあると思います。そのあたりもあらかじめ、周りに伝えておくといいでしょう。
ご自身が治療法に詳しい場合や信頼できる医師がいる、感じのいい病院を知っているなどがあれば、病院や治療法についての希望も伝えてください。
病気になると、体調も優れず、安定せず、そのあたりの細かな希望を伝えることは難しいと思いますし、救急車で運ばれて緊急入院なんてこともあります。
さらには、延命治療についても考えておきましょう。「できる限りの延命治療を希望する」「痛みを取り除く緩和ケアを希望する」「家族の判断に任せる」「尊厳死を希望する」「リビング・ウィル(尊厳死の宣言書)を書いているので尊重してほしい」など、自分の命と向き合うとき、どうしたいかは、とてもナーバスな問題です。その判断を家族に委ねるのは、正直、家族も荷が重いかもしれません。
ちなみに、自分の病が不治かつ末期になった際に延命措置を施さないでほしいという意思を提起する「リビング・ウィル」は、尊厳死を認めている医師のもとでないと成立しません。現在、尊厳死を認めている医師は全国で1200人(2020年)。尊厳死を視野にいれるなら、日本尊厳死協会の情報を確認しましょう。
そのほか「臓器提供や献体」についても、「臓器提供が可能であれば希望する」「献体が可能であれば希望する」「臓器提供も献体も希望しない」「家族の判断に任せる」など、どれがいいかを考えておくといいと思います。
臓器提供や献体は死後行われること。自分の意思を伝えていない場合は、ほぼいずれも「しない」という決断になります。希望がある場合は、必ず家族に伝えておきましょう。
医療について、特に治療法については日進月歩。次々と新しい治療法なども生まれます。そうした治療にも対応できるよう、現状の希望を伝えられるといいですね。また、現在の体について、身長、体重、血液型、血圧、アレルギーや既往症、かかりつけ医の詳細、保険証状況についてもまとめておくと安心です。
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