(写真はイメージです/PIXTA)

終活を行うための「適齢期」はいつでしょうか。リポーターで一般社団法人終活協議会理事の菊田あや子氏には問いに対する、明確な答えがあります。その答えと理由について説明します。

終活を始める時期は、「50代」がベストな理由

「終活の適齢期はいつですか? 」という質問をよくいただきます。

 

その質問に対する私の答えは「50代」です。

 

実際、終活が現実味を帯びるのは、60代、還暦を迎えたあとだと思います。その頃には、仕事もひと段落して、人生の次のステージを考える頃でしょう。親も看取っているかもしれないし、結婚して子どものいる方なら孫が生まれているかもしれない。先々の人生を思えば、死が身近になる年代でもあり、リアルに終活を考えやすい時期だと思います。

 

また、70代はもっと終活が身近になり、「いよいよ終活するか」と重い腰を上げる人も多い世代に感じます。

 

ならば、なぜ私が、まだリアルに人生の最期をイメージしにくい50代を終活の適齢期と思うのか?

 

それは迷いの時期だからです。

 

50代になって初めて、退職後の第二の人生を考える人は多いと思います。仕事をしていれば、職場で若い人たちの働きを見ながら過去の自分を重ねたり、現場から離れて管理をする立場になることが多いでしょう。働いた30年の疲れも出る頃だと思います。

 

家庭面でも、子どもが巣立ち、自分の時間が増えて、人生を振り返る余裕が生まれると思います。あるいは、親の介護の真っただ中で、いつかは自分も介護を受ける立場になる、介護は受けたくないなぁ、とか、介護を受けるならこうしたいなどと思うこともあるでしょう。

 

重ねて、周りの同世代が体調を崩したり、早逝する場合も増えてきます。ご自身が体調を崩す場合もあるかもしれません。

 

一人暮らしならなおさら、疎遠になった親族と連絡を取ってみようとか、親族がいない場合は友達と人生を語り合おうなどと、考え始めます。

 

女性に多いですが、シングル同士で同居しようというプランの輪郭がはっきりし始めるのもこの時期だと思います。疎遠になっていても、人生最期のシーズンをともに過ごせる親族や心許せる友達がいる人はまだいいのですが、そうしたコミュニティがないシングルや現在、老齢の親と暮らしていたり夫婦二人で暮らすシングル予備軍は、とても不安です。

 

このまま一人で、あるいはいつか一人で、暮らしていけるだろうか。仕事をしている間は体調の変化に気づいてくれる人がいても、仕事を辞めて一人になって、体調を崩したら誰が気づいてくれるのだろう。入院なんてことになったら…。さらには、長生きする自分を想像して、経済的な不安を感じることもあります。

 

平均寿命は延びて、長命であれば、あと40年以上は生きるかもしれない…。今後の人生の不安がリアルに押し寄せてくるのが50代なのです。

 

そうした不安を感じたときが、実は終活の適齢期です。抱える不安を一つずつ、解消すべく終活を始めればいいのです。これからの人生におけるあなたの不安を一つずつ書き出して、その解決策をクリアにしていく。不安を解決するために、すべきことを明確にして、今できることはしておく。

 

「終活は死を迎える前後の活動だけではない」というのは、そういう意味です。もちろん、葬儀やお墓、相続など亡くなった際のプランを立てるのは終活のメインストリームですが、生きている間の時間について考えることも、同様に大きな意義があります。病気やケガへの対策、経済面での対策など、これから続く人生の安心をプランニングすることも大切な終活です。

 

私も、これから真面目に婚活に取り組もうと思っています。この先の人生は心を許し合えるすてきなパートナーと穏やかに安心して歩いていきたいからです。これも立派な終活です。

 

50代から終活を始めれば、これからの人生を余裕をもって考えられます。ご自身の状況や社会情勢が変わったとき、気持ちや体調の変化によって、都度都度ブラッシュアップをすることができるのも早い時期から終活を始めるメリットです。

 

もちろん、60代でも70代でも、終活は思い立ったときから始めればいいと思います。きっかけは、

 

□定年になった、あるいは仕事がリタイアのタイミング

□自分と家族の健康に不安を感じた

□家族や大切な人が亡くなった

□結婚して子どもができた

□周りが終活をし始めた

□子どもに勧められた

□一人で暮らすことになった

 

などが考えられます。こうしたきっかけから思い切って終活に取り組んでもいいと思います。思い立ったときが、それぞれの終活適齢期ともいえます。

 

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本連載は書籍『エンジョイ! 終活』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

エンジョイ! 終活

エンジョイ! 終活

菊田 あや子

幻冬舎メディアコンサルティング

年を重ねるごとに大きくなる不安は不安の正体を知ることで解消できる。グルメレポーターであった著者が母を看取り、今思う「終活」の大切さとは。

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