前回は、医師がどれだけの出費をしているのか、なぜ不動産投資を行うべきなのかを説明しました。今回は、医師のライフステージに合わせた具体的なマネープランを紹介します。

勤務医次代、開業期・・・ステージに合わせたプランとは?

医師である皆さんにとって、最終目標のひとつには、やはり開業ということも視野に入っているのではないでしょうか? そうなると、どのくらいの年齢でどのあたりに開業するか、という目標に向けて、それぞれのステージで具体的なライフプランを考えておく必要があります。

 

今回は「勤務医時代」「開業期」「患者定着期」「医療法人設立期」「財産継承期」にわけて、それぞれの時代にあわせたマネープランについて考えてみましょう。

 

<勤務医時代>

 

研修を終えた医師の多くが、地域の中核病院で働く時期にあたります。収入よりも拘束時間の長さ、プライベートな時間を捻出することが難しい時期ともいえます。この時期の医師たちの多くから「お金を使う時間がない」という話を聞きます。この時期こそ、資産運用のスタートに最適といえます。

 

忙しくても可能な投資方法で、しっかりと資産の運用を図りましょう。この頃から資産運用をスタートしておけば、将来の独立・開業にも備えることができます。

 

いざ開業したい、となってから慌てても、政府系金融機関・メガバンクや地方銀行のドクター向け融資、信用金庫と複数の金融機関に打診をしても融資が満額つかないという事態もないわけではありません。なるべく積極的な資産運用で、将来の独立・開業に備えることが大切です。

 

<開業期>

 

開業していきなり患者さんがたくさん来る、というのは考えにくいもの。自己資金を投入し、金融機関からの借入れも行って開業した医院やクリニックの損益分岐点を目指す時期にあたります。キャッシュフローもマイナスですし、純財産額もマイナスの場合が多くなります。

 

それでも、開業前から不動産投資を行っていれば話は別です。自分が所有している物件をリフォームして開業する手もありますし、物件からのキャッシュフローを開業資金としてプールしておくことも可能です。

 

<患者定着期>

 

この時期では患者数が損益分岐点を超え、キャッシュフロー的にはプラスに転じますが、まだまだ開業時の借入金が重くのしかかります。同時に、子どもの医学部、歯学部入試に備え、長期的な資産運用を始めるタイミングでもあります。資産を「守る」視点と「増やす」視点のバランスが大切といえそうです。

 

不動産投資をしているのであれば、一棟目のローン返済も進んだ頃にあたります。このあたりで2棟目、3棟目への再投資を考えてみるのもいいかもしれません。

 

<医療法人設立期>

 

医療法改正にともなって、現在はあまり積極的に医療法人の設立をお勧めできない状態になっていますが、診療報酬が5000万円を超えるあたりが医療法人設立のタイミングです。当然キャッシュフローもプラスですし、開業時の銀行借入れの返済の目処も立ってきたはず。数字を見ながら、無理なく医療機器の再投資も行う時期でもあります。

 

<財産継承時>

 

子どもが医学部・歯学部に在学中であったり、勤務医として研修をされるような時期にあたります。私がコンサルティングを行っている医師の中には、週に1回休診日を設けたり、夜の診察時間を少し短くしたりされるケースも少なくありません。

 

ここで大切になってくるのが節税しながら、なるべくスムーズに財産を継承することです。一人ひとりのライフスタイルに合わせて、なるべく節税しながら財産を継承するためのプランを考えておく必要があります。

 

不動産投資を通じて生涯に渡る資産の形成・運用をする

多少の違いはあっても、医師の〝上がり〞が独立・開業であるなら、おそらくほとんどの医師たちはこのような道を進むものと考えられます。忙しいなかで数年先、数十年先を見越して今から何かを始めるのは難しいかもしれません。ただ、筆者は忙しいからこそ、今すぐに何かを始めてほしいと思うのです。

 

医師という職業は確かに収入も多いのですが、独立・開業にあたっては平均6000万円程度の資金が必要だと言われていますし、医療機器なども常に最新のものを導入し続ける必要があるでしょう。

 

これからは医療自由化が進むとも考えられるため、患者さんをしっかりと掴んでおくためにも設備投資なども怠ることができなくなると考えられます。

 

不動産投資をして終わり、開業して終わり、あるいは医療法人設立で終わり、というのではなく、不動産の運用を通じて生涯にわたる資産形成・運用をすることが重要です。

 

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本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

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