(写真はイメージです/PIXTA)

長男は東京大学に現役合格、次男は京都大学に現役合格、長女はロンドン大学UCLに現役合格……母学アカデミー代表の河村京子氏は書籍『教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる』(日本法令)のなかで、子どものやる気を出すための親の行動について解説します。

子どもの努力を無意識に摘まないようにする

空に浮かぶ満月。美しいお月様にため息が漏れます。では、同じ時間に同じ月を、ロケットに乗って月の裏側から見ると、どのように見えるでしょうか。正解は「真っ暗で見えない」です。

 

次に、月の横から見るとどのように見えるでしょうか。

 

正解は「半月」です。月は自分で輝いているのではなく、太陽の光が反射した部分が輝いて見えます。だから見る位置によって見え方が違ってきます。

 

同じことが子育てでもいえるのではないでしょうか。日曜日の朝、お子さんがキッチンで何かしています。ガチャンと音がしたので、キッチンに行ってみると、床に割れた卵と小麦粉が散らばっているのが見えます。

 

こんな時、あなたならどうしますか。目の前の惨状を見ると、

 

「何をしてたの⁉」

 

と大声を出したくなるかもしれません。

 

「勝手にキッチンを使わないで!」

 

と言ってしまうかもしれません。確かに、自分の側から見ると、「食べ物がもったいない」「片付けがめんどうくさい」「できないならやらなきゃいいのに」、そんなふうに見えます。

 

そんな時には、自分の側からだけではなく、子どもの側(月の裏側)からも見てください。きっと、

 

「朝ごはんを作ってお母さんを喜ばせてあげよう」「おいしいホットケーキを作ろう」

 

こんな気持ちでがんばっていたに違いありません。お母さんに叱られたことで、そんながんばる気持ちがしぼんでしまい、「二度と料理なんかするものか!」と思ってしまうかもしれません。せっかくのやる気をそいでしまったら、この先お料理の手伝いはしなくなってしまうでしょう。

 

トラブルが起こった時に、一方的に自分の側から見るだけではなく、相手の側からも見てみると、見える世界は変わります。見える世界が変わると、言葉が変わります。

 

「ホットケーキを作ろうとしたのに、ひっくり返って残念だったね」

 

「次はきっと上手にできるよ。がんばって」

 

きっとこんな言葉になるでしょう。ホットケーキの材料をひっくり返して凹んでいた子どもも、お母さんに励ましてもらったら、再びやる気になるでしょう。「失敗しても、またやり直せばいいんだよ」というメッセージを送ることができるのです。

 

子育て中は、思いもよらぬことが毎日のように起こります。一つひとつに腹を立てるのか、相手の側から見て気持ちを汲んであげるのか、そんな小さな積み重ねが10年20年続くと、大きな差になります。まずは月の裏側をイメージできるよう、心の中にロケットを持ちましょう。

 

 

河村 京子

母学アカデミー代表

 

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教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる

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河村 京子

日本法令

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