住民総会紛糾!マンション管理の恐ろしい仕組み
タワーマンションがある上大岡駅前の市街地再開発事業が都市計画決定されたのは、1997年。この年、国は「高層住居誘導地区」を導入し、建築基準法も改正して容積率を大幅に緩和しました。超高層化の道が開かれ、上大岡駅前の再開発も動きだしたのです。
上大岡では、元の地権者と横浜市住宅供給公社が市街地再開発組合を結成し、事業に取り組みます。権利変換を経て、新築された超高層ビルの保留床(5階以上)は横浜市住宅供給公社がいったん保有し、マンションとして新規分譲しました。
ここまでは市街地再開発の手順どおりです。しかし、マンションの維持管理のルール集である「管理規約」が、国交省モデルの「標準管理規約」はじめ一般的なものとかなり異なっていました。
一番のポイントは、新規入居者が受け取った管理規約の「管理者」のところに株式会社上大岡都市開発という会社名がすでに書き込まれていたことです。
管理者は、居住者全員の共有財産を保存し、集会の決議を行い、規約で定められたことを行う権利と義務を負います。年に1回、住民総会を開く、区分所有者全員の代理です。
ふつう、マンションの管理者は管理組合理事長が務めます。新築分譲で入居者が集まったら、管理組合の設立総会を開き、理事長ら役員を選出して管理規約を議決します。理事長が管理者を兼務し、日々の管理業務は管理会社に委託されます。
そうしたステップを踏まず、規約の管理者に上大岡都市開発の名前が記されていたのです。上大岡都市開発は、再開発組合の主な権利者が株主となって設立した会社でした。
国交省の標準管理規約第42条には「理事長は、区分所有法に定める管理者とする」と明記されています。区分所有者の代表でもない管理会社の名前が前もって管理規約に記されているのは非常に珍しいことです。
ただし、違法ではありません。区分所有法第25条には、「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる」と記されているだけで、管理者の要件は規定していません。
個人でも、法人でも、非居住者でも管理者に就ける余地はあります。投資型のリゾートマンションで区分所有者が全国に散らばっていて維持管理が難しい場合などは、管理会社が管理者を兼ねています。
とはいえ、新築のファミリータイプのマンションで、管理会社を管理者に既定するのは異例です。新住民たちは承服できませんでした。管理組合が、商業フロアの元地権者で構成する施設部会と、マンション住民の住宅部会に分かれているのは仕方ないにしても、共有財産の処置を見ず知らずの会社に一任するのは納得できません。
管理規約の別の条項には、住宅部会は独自に管理者を選任できる、と読み取れる内容も記されていました。住民総会は紛糾します。住宅部会は独立して運営し、管理者を別に置くとする議案を提出しますが、なかなか採決されません。4回目の総会で住宅部会は上大岡都市開発との管理業務委託契約を解除し、独立系の管理会社に置き換えました。
住宅部会長たちは、不可解な管理規約を改正しようと思い立ちます。ところが、施設部会が反対したら未来永劫、管理規約を改められない縛りがかかっていました。
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