(写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が「終活」に対して暗く・重いイメージを持っています。しかし、リポーターで一般社団法人終活協議会理事の菊田あや子氏は「終活」は楽しむものだと述べています。その理由について説明します。

2035年には東京の「独居老人」は44%に

日本は現在、“超高齢社会”に突入しています。2035年には日本の41道府県で、世帯主が65歳以上の高齢世帯が全体の4割を超えるとされており、これは世界的に見ても類を見ない高齢者率といえます(国立社会保障・人口問題研究所調査)。2035年といえば、あと15年もありません。日本の超高齢社会は、ますます深刻化しているのです。

 

もう一つ注目していただきたいのは、独居老人の割合です。現在も結婚をしない適齢期の男女が話題になりますが、生涯独身者がそのまま高齢者になるケース、離婚してシングルに戻るケース、死別で一人になるケースなど、単身で暮らす老人は年々増加しています。

 

2035年には46都道府県の高齢者の3割が独居老人になるとされており、最もその割合が多い東京都では、実に高齢者の44%が独居老人となると予測されています。

 

もう少しで高齢者の2人に1人が独居老人となるという予測ですから、驚きます。自立した老人が増えると考えれば良い傾向にも感じますが、「頼れる身内がいない」などのケースが増加している背景を考えると、心配にもなります。

 

夫婦や子どもや孫、親族などとともに「終活」を考えるのも、意見の違いがあって大変だとは思いますが、周りの人を頼りにできます。いざとなったら、誰かが葬儀、納骨などを仕切ってくれると思えば、気が楽です。

 

対して一人で終活を考える場合、「揉めない」という点においては、多少不安は和らぎます。しかし、頼れる親族がいない場合、終活を「誰かにお願いできる」という安心感はありません。

 

誰に葬儀などの世話を頼めばいいだろうと迷い、その後の納骨や四十九日、お世話になった方々へのお知らせも気になることとなるでしょう。

 

また、終活を「亡くなってからのさまざまな行事や手続きについて“のみ”考えること」ととらえている人もいますが、実際は亡くなるそのときの話だけでなく、病気になったときの入院、手術、老人福祉施設入居、認知症罹患の場合はふさわしい施設への入居、体が動かなくなった場合のヘルパーなど福祉関係へのアプローチなども、広義的な意味で終活といえます。

 

さまざまなシーンで保証人を要請されて、実際は一人ではできないことがたくさんあるのです。

 

かくいう私も現在は独身です。子どももいません。以前、尿路結石で入院・手術をするときに保証人がいなくて、とても困りました。そのときは親友に保証人と付き添いをお願いしたのですが、手術一つとっても、親族がいない場合は困るという事実を、経験して初めて知るのです。

 

同様のことが、これから先も考えられます。病気をして入院したり、手術をするとき、入りたくはないけれど介護施設に入ることになったとき……、保証人が必要なシーンはたくさんあります。

 

私の場合は、兄の息子─私にとっての甥が東京に住んでいるので、「彼に頼むのかなぁ」などと想像しますが、彼も忙しいサラリーマンです。実の子どもでもないがゆえに、遠慮もあります。24時間いつでも、緊急で呼べる親族、あるいは親族がいない場合は信頼できる誰かを探すことは、想像以上に難しいのです。

 

高齢者が一人暮らしで、頼れる身内もいなかった場合、自分の死後の問題についてだけでなく、病気やケガなど、生きている間の緊急事態にも十分に備える必要があります。

 

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本連載は書籍『エンジョイ! 終活』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

エンジョイ! 終活

エンジョイ! 終活

菊田 あや子

幻冬舎メディアコンサルティング

年を重ねるごとに大きくなる不安は不安の正体を知ることで解消できる。グルメレポーターであった著者が母を看取り、今思う「終活」の大切さとは。

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