「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。定年退職したサラリーマンも活用できる付加年金、国民年金基金などの活用法をお届けします。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

サラリーマンも可能?国民年金基金のメリットは

一例を見てみましょう。

 

60歳男性= 終身年金B型に加入、1口目1万8740円、2口目以降9370円を5口、月額合計6万5590円を掛けた場合


60歳から65歳までの掛金総額…393万5400円 
65歳からの年金…21万円

 

21万円の年金を終身で受け取ることができるので、およそ19年で元が取れる計算になります。65歳男性の平均余命がちょうど19.57年です。85歳以降は得になります。

 

損益分岐点で見ると、国民年金の任意加入は10年、60歳からの国民年金基金は19年と比較的長めです。とくに国民年金基金の19年は微妙なラインではあります。

 

しかし、両者の本当の魅力は、掛金が全額控除の対象になり、所得税・住民税が軽減されることです。このメリットはひじょうに大きく、損益分岐点はぐっと下がります。

 

掛金が月額6万5590円であれば、年額は78万7080円です。所得税が10%なら7万8708円。住民税10%の7万8708円と合わせて、15万7416円の税金がもどってくるのです。

 

国民年金も同様に、掛金が全額控除の対象になります。

 

国民年金(1万6340円)と国民年金基金(6万5590円)を合計した月額は8万1930円で、年額の掛金は98万3160円。

 

所得税10%、住民税10%で計算すると、19万6632円も控除があります。実質の掛金が19万6632円安いのと同じわけです。

 

60歳までは確定拠出年金がありますが、それ以降は任意加入と国民年金基金がかわりになります。自営業を営んでいる人には、ぜひ活用していただきたい制度です。

 

なお、国民年金基金と付加年金は併用できませんので、ご注意ください。

 

老後資金を貯める王者は「iDeCo」にあらず?!

 

「ちょっと待った。老後資金を貯めるにはiDeCoがおすすめだといってなかったっけ? それなのに、国民年金基金もすすめている。大事な老後資金なんだから、あやふやじゃ困るよ」

 

そんなお叱りを受けそうです。たしかに混乱しますよね。

 

どちらも老後資金を用意するうえでは優秀です。なんといっても、掛金全額に税制優遇があるからです。

 

iDeCoは、国民年金に加入している20歳以上60歳未満の人ならば、誰でも利用できます。投資信託などで長期に運用するため、うまくいくと増える可能性が大きいといえます。もちろん、失敗すると減ってしまいますが。

 

いっぽう、国民年金基金は国民年金の第1号被保険者、つまり自営業者やフリーランスの人しか加入できません。しかし、60歳で定年退した人も国民年金を任意加入することで、国民年金基金を活用して「年金を増やせる」ことは意外と知られていません。運用は1.5%なので大きく増えませんが、安心感はあります。

 

そして、人生100年時代に対応しているのは、国民年金基金だと思います。

次ページiDeCoと国民年金基金の違いは「確定拠出」と「確定給付」
老後資金は貯めるな!

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