米金利政策に反応する世界株式市場…フィリピンは?
先週の株式市場を振り返ってみましょう。世界的に株式市場は、FRBの利上げとテーパリング時期に対して神経質な動きとなっています。
一方フィリピン市場は、PSEI総合指数が7000を目指して、堅調な動きになっています。背景としては、政府がマニラ首都圏の検疫措置を緩和したことがあげられます。
また、欧米を中心に、コロナからの経済回復基調が鮮明となってきたことを受け、4月の海外で働くフィリピン人(OFW)からの国内への送金額が13%増加しました。
フィリピンは英語が喋れる優秀な人材が経済成長を牽引してきたと言っても過言ではありません。インバウンドがBPOであり、アウトバウンドがOFWです。ともにフィリピンのGDPの10%をしめる主要産業です。特にBPOはコロナによる経済・社会のDX化の進展により、業績を大きく伸ばしています。
次にIMFは、同国のGDP成長見通しをコロナの影響が長引いている中、6.9%から5.4%に引き下げました。同様に観光産業のGDPへの貢献度は、2019年の12.8%から2020年には5.4%となり、20年ぶりの低水準となりました。
フィリピン株式市場には外国人投資家が戻りつつある
PSEIフィリピン総合指数は、週ベースでは、主に利益確定のために指数が57ポイント下がっています。また、外国人投資家については、2週連続の買い越しから、先週は1億8,200万ペソの売り越しに転じましたが、6月1ヵ月間の外国人の買い越し累計は37億ペソとなり、フィリピンの株式市場が外国人投資家の信頼を取り戻してきています。これは主に、出遅れていた国内でのワクチン接種が進んでいることによるものだと考えられています。
ワクチン供給に関しては、政府は今年、約1億1300万回分のワクチンを確保しています。その結果、フィリピンの株式市場は年初来12%の下落から巻き返すことができ、現在のところ、年初来で4%程度の下落にまで回復し、回復基調が鮮明となってきています。現在1日平均20万8809のワクチン接種が行われています。
2021年のフィリピン市場全体のPER予想は19.3倍と若干割高感が出てきていますが、株価収益率(PER)を、一株当たりの利益成長率で割った指標であるPEGレシオで見ると0.47で、フィリピン企業の増益ペースに対してまだ過小評価された状態で取引されていることを示しています。基本的にPEGレシオは1倍以下になると割安と言われています。
主要経済イベントとしては、中央銀行(BSP)会合は6月24日となります。エコノミストは、政策金利は過去最低の2%に据え置かれると予想しています。製造業PMIは7月1日、インフレ率は7月6日となります。