2020年に突如として世界を襲った新型コロナウイルスの猛威はいまだ収束を見込めていませんが、それは「投資するべき国No.1」にも選ばれたフィリピンでも同じこと。一方で、コロナ収束後を見据えた絶好の仕込み時と捉える動きも。世界の投資家が注目するフィリピン株式市場について、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏がレポートする本連載。今回は本格的に上昇基調に入ってきた感のあるフィリピン株式市場のなかで、割安感のある銘柄に注目します。

GMA 7:フィリピン・選挙イヤーで広告収入を独占

最初は、以前の記事でも取り上げました「GMA 7」。テレビ局です。2022年はフィリピンの選挙イヤーですから、広告収入で大きな利益を期待できます。実際、すでに選挙活動を開始した候補者もいます。そして今回の選挙は、「GMA 7」に競争相手がいない初めての選挙なのです。2大キー局の一つ「ABS」の放送権が更新されなかったからです。ですから、すべての広告収入が「GMA 7」に集中します。

 

配当に関しても、最低でも年率10%を確保するのではないでしょうか。株価は13ペソに達しましたが、先月は9ペソ近辺で取引されていました。このような市場独占状態ですが、PERは8.2とそれほど高くなく、過去5年間の平均PER9.2、も下回っています。

マニラウォーター:水道事業の国際展開を視野に

次に紹介するのは、「マニラウォーター」です。マニラ首都圏で水道事業を行っている会社です。2020年8月に実業家エンリケ・ラゾン氏系企業「トライデント・ウオーター」が株式の過半数を「アヤラグループ」から取得し、傘下に入りました。

 

ラゾン氏は、フィリピンで三番目の富豪として知られ、フィリピンを拠点に20カ国で29の港湾およびターミナルの管理運営を行う「インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)」の会長兼社長です。マニラ湾岸のエンターテインメント・シティで12億米ドル規模の統合リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」を開発した「ブルームベリー・リゾーツ(BRC)」の会長も務めています。「ICTSI」「BRC」両社ともにフィリピン証券取引所に上場しています。

 

「ICTSI」は、マニラ国際コンテナターミナル(MICT)他国内で6つのターミナルを運営しているとともに、世界19カ国で、27の港湾ターミナルを運営するフィリピン発グローバル企業です。

 

また、同氏は世界各国にある「ICTSI」子会社のほとんどで取締役を務めるほか、複数の大手外国企業、国内企業で取締役を務めています。そのほかにも、不動産、電力、鉱業、石油・ガス探査に加え、国内のゴルフコースなどレジャー施設にも投資しています。また世界規模で「ICTSI」グループの社会貢献(CSR)活動を推進するICTSI財団の会長でもあります。

 

「マニラウォーター」はグローバル企業である「ラゾングループ」傘下に入ることにより、水道事業の海外展開が期待されています。実際ベトナム、ミャンマーに進出しています。

 

過去12ヵ月(TTM)のPERは7.4で、過去5年間の平均PER9.3を大きく下回っていますし、現在のPBRは1を割って0.5程度ですので、かなり割安に見えます。

次ページ利回り約6%「アヤラランド」のREIT

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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