コロナ対策「マスクは本当に効果があるのか?」感染症医の答え (※画像はイメージです/PIXTA)

「結局マスクはつければいいの? つけなくてもいいの?」という質問は、「傘は差したほうがいいのか」という疑問に似ている、と感染症医である筆者は述べます。状況によって効果を強く発揮したり、あまりしなかったりするということです。「マスクにより利益が得られる状況」について見ていきましょう。※本記事は、岩田健太郎氏の著書『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル、2020年12月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

マスクは「つけないよりはつけたほうがいい」と認識

マスクというのは基本的に「飛沫が飛ばないようにする道具」です。

 

すでに感染している人が他人にうつさないためのツールであって、たとえば布マスクは感染防御には役にも立ちません。しかし、飛沫を飛ばさない効果は期待できます※2。一般に販売されているサージカルマスクの飛沫防止効果はさらに高い。

 

ですから、感染者はサージカルマスクをつけるべきです。どうしてもサージカルマスクが入手できないときは、布マスクを使う。

 

いずれにしても、症状があるときは外出はいけません。マスクをしていてもダメ。

 

新型コロナと診断されていなくても、「熱がある」「咳が出る」「体がだるい」といった症状があるときは、自宅で休まなければなりません。その際は、家族などにうつさないためにマスクをつけることです。

 

一時期のニューヨーク市のように感染者が爆発的に増えていて、誰もが「自分も感染者かもしれない」と疑っている状況でも、家から出ないのがベストです。

 

どうしても外出をしなければならず、さらに外出先で人との距離が保てないときは、マスクです。たとえ布マスクでも、つけないよりはつけたほうがいい。新型コロナの感染拡大後、ユニバーサルマスキングという概念が提唱されています※3。感染者の中には無症状の人もいるのだから、全員が感染者である前提でみんながマスクをしましょう――というコンセプトです。

 

※3 Klompas M, Morris CA, Sinclair J, Pearson M, Shenoy ES. “Universal Masking in Hospitals in the Covid-19 Era.”New England Journal of Medicine. 2020 May 21;382(21):e63.追加のレター、Klompas M, Morris CA, Shenoy ES.“Universal Masking in the Covid-19 Era.”New England Journal of Medicine. 2020 Jun 3;0(0):null.

 

ただし、ユニバーサルマスキングの提唱者は「外出時にマスクをつけるのがユニバーサルマスキングである」と主張しているわけではありません。「いわゆる3密が発生する場所や医療機関において、みんながマスクをつけると効果が期待できる」ということを彼らは言っているのです。

 

「結局マスクはつければいいの? つけなくてもいいの?」

 

そんな疑問の声が今でもときどき僕の耳に届きます。

 

それは「傘は差したほうがいいのか、差さなくてもいいのか」という疑問に似ています。雨が降っていれば差せばいい。小雨程度なら別に差さなくてもいいし、差したってかまいません。台風が来て、暴風雨が吹き荒れているのなら、傘は役に立ちません。そんなときは家にいたほうがいい。晴れていれば傘は差さなくてもいいけれども、夏の日差しが強いときには日傘を差して歩くとずいぶん涼しい。

 

どれも当たり前の話です。

 

状況によって必要性が異なるのはマスクも同じで、たとえば僕個人は勤務先の病院ではマスクをつけています。感染のリスクを減らすためです。しかし自室(教授室)に戻ったらマスクを外します。そこには僕しかいないからです。

 

ジョギングをするときは、マスクをつけません。ただし、人がまばらな道を走ります。自宅周辺がいつもランナーで混み合うような状況であれば、ジョギングはしません。通常の外出では、マスクはつけません。

 

以前、町を歩いていて「岩田先生は本当にマスクをつけていないんですね」と声をかけられたことがありますが、もしも今後、町で声をかけられることが増えたらマスクをつけるかもしれません。誰かにいきなり近寄られるのはリスクだからです。人間対策(笑)。

 

もはや書くまでもないでしょうが、答えは一つではないわけです。検査もそうです。シングルアンサーはない。感染症という概念を理解する上で、これは決して忘れてはならない前提です。

 

 

岩田 健太郎

神戸大学病院感染症内科 教授 

 

 

神戸大学病院感染症内科 教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学。神戸大学都市安全研究センター医療リスクマネジメント分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学病院感染症内科診療科長。著書に『「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門』(光文社新書)、『感染症は実在しない』(インターナショナル新書)、『ぼくが見つけたいじめを克服する方法』(光文社新書)など多数。

著者紹介

連載感染症専門の内科医が「PCR」原理主義に反対する理由

僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

岩田 健太郎

集英社インターナショナル

なぜ、ノーベル賞科学者でさえも「コロナウイルス」が分からないのか? その理由は日本人独特の「検査至上主義」にあった! 人間の体は宇宙よりも謎に満ちていて、素粒子よりも捉えがたい。そのことを知らないで、「机上の…

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