「家賃滞納は普通の人が堕ちる破滅への入り口である。」……2500件以上の家賃滞納トラブルを解決してきた、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏。同氏は書籍『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)のなかで、「家賃保証の落とし穴」について語っている。

月収20万円だったが…「10万円」もの部屋を借りると

とても便利に思える家賃保証会社ですが、実は大きなデメリットがあります。それは、賃借人が身の丈を超えた部屋を借りることを食い止める心理的なハードルを引き下げてしまうということ。連帯保証人が果たしてきた、口うるさいお目付役としての役割が欠けているのです。

 

例えば、月収20万円の我が子から、10万円の部屋を借りたいから保証人になってくれと頼まれたら、普通の親なら「身の程を知りなさい!」と突っぱねるはずです。そうなれば、たとえ不本意であっても、今の自分に相応だと思われる家賃の物件にせざるを得ないでしょう。わざわざ小言を言われたくはないし、そのような物件を借りることを最初から諦めることも多いはずです。

 

ところが、相手が家賃保証会社になると、そのハードルが一気に下がります。

 

ちょっと無理かな、と思うレベルの物件でも、それを借りたいと意思表示をする上での心理的なハードルは、連帯保証人を相手にするよりグッと低くなります。また身の丈以上の物件であっても、家賃保証会社の審査が通ってしまったら払える気になってしまうものです。

 

各社の基準発表がないので断言はできませんが、家賃保証会社の審査の基準はそれほど厳しいものではないというのが私の印象です。そもそも、家賃保証会社だってビジネスです。契約件数を増やさなければ、経営が成り立ちません。競合となる保証会社はたくさんあるので、自分のところが断れば、別の保証会社に客を取られるだけです。

 

もし事故(滞納)があれば、全力で督促して回収すればいいと考え、審査を厳しくしていられないのでしょう。その結果、背伸びした物件が簡単に借りられてしまうのです。

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家賃滞納という貧困

家賃滞納という貧困

太田垣 章子

ポプラ社

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