原油は2018年以来の高値
経済再開に伴い原油需要は堅調
■北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は上昇基調を続け、6月16日には1バレル=72ドルを超え、2018年以来の高値となりました。
■新型コロナワクチン接種の進展により経済活動が正常化に向かい、原油の需要回復期待が強まっています。石油輸出国機構(OPEC)によると、2021年の世界の原油需要は2020年から600万バレル増加すると見込まれています。
エネルギー投資減少、中東問題が供給を抑制へ
■また、供給への懸念も高まっています。国際エネルギー機関(IEA)は5月18日、2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を実現するため、今後の石炭及び石油・ガスの新規開発停止を含む行程表を発表しました。
■イランでは6月18日に行われた大統領選挙で、反米保守強硬派と言われるライシ司法府代表が勝利しました。ライシ氏は米国の個人制裁の対象となっていることから、バイデン政権との間で行われている核合意への復帰交渉はさらなる難航が予想されます。イランから国際社会に向けての原油輸出再開はめどが立たない状況です。
需要回復の中で供給が抑制され続ければ一段高も
■中東の地政学リスクはくすぶったままです。また、IEAのレポートは強制力を伴うものではないものの、今後の化石燃料への投資が世界的に難しくなることを強く示唆する内容でした。
■こうした供給抑制要因が続く中で、経済正常化に伴う需要拡大が続けば、原油価格が一段高となる可能性があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は需要拡大期待、供給抑制懸念から上昇』を参照)。
(2021年6月22日)
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