エンジェル投資家(これから事業を始めようとする起業家に対して出資を行う個人投資家)の坂元康宏氏は、「日本の会社員はあと10年で滅びる」と主張しており、起業の重要性について説いています。今回は、エンジェル投資家がどのように企業への出資を決めるのか、見ていきましょう。

何度目か面談したのに「出資」を取り消し…一体なぜ?

何度か面談を重ねる中で投資するはずだったのが変更になることもあります。ある代替肉(フェイクミート)製造のベンチャー企業への投資案件は、出資直前で見合わせた事例です。代替肉は米国ではかなりの成長が期待されている分野で「ビヨンドミート」や「インポッシブルフーズ」などベンチャーも急成長しています。

 

この流れは必ず近い将来に日本にやってくると見ていますし、プレゼン資料も相当に出来のいいものでした。実際に試作品も食べてみましたが、米国ベンチャーのそれが「いかに”肉の味”を再現するか」に注力しているのに対して、私が出資を検討した企業のそれは”見た目や食感”までも本物そっくりに出来ており、競争力もあると感じました。

 

私としてはかなり前向きだったのですが、「事業内容を変更しました」とのことで会ってみると、当初は代替肉研究(ラボ)を主事業としていたのが加工工場を造り、食品開発製造まで行うというのです。当然ながら「どうして前にお聞きしたのと変わったのですか」と聞いたのですが、先方の回答は「今が攻め時なので、このチャンスを逃したくない」ということだったのです。

 

路線変更が悪いのではありません。スタートアップ企業が生存を賭け奮闘する中で、当初の構想をいったん置いて現実路線に舵を切ったとしても、それは当然の決断です。

 

例えば、「代替肉は量産化のハードルが思ったよりも高く、これ一本で経営を成立させるのは時間がかかりそうです。研究開発は継続しますが当面は食品開発を主事業にした方がマネタイズが早そうなので変更することにしました」という説明があれば、納得したと思います。

 

しかし、そうした説明がなされないのであれば、我々は「この会社に出資して大丈夫だろうか……」と思ってしまいます。

 

もしかしたら先方は「資金は出して欲しいが経営にはあれこれ口出しして欲しくない」と思っていたのかもしれません。実際”お金は出すが口は出さない”タイプのエンジェル投資家もいますが、我々はそうではありません。

 

これはどちらが良い悪いではなく、お互いが何を求めるかという相性の問題です。こうしたミスマッチに目を瞑ってことを進めると、お互いにとって不幸な結末を迎えかねませんから、直前で撤退しました。

 

 

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※本連載では坂元氏が成功する起業家の特徴や、「エンジェル投資家」について解説していきます。

起業するなら「エンジェル投資家」を口説きなさい

起業するなら「エンジェル投資家」を口説きなさい

坂元 康宏

幻冬舎メディアコンサルティング

海外の若手起業家にとって当然の存在でありながら、日本ではほとんど認知されていないエンジェル投資家。若手起業家の元へ足繁く通い、ハンズオンしてきた著者だから見えた成功者の共通点とは。投資家として、起業家として、エ…

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