M&AアドバイザリーサービスやM&A後の統合作業や組織再編、事業再生などのサービスを提供する株式会社すばる代表取締役の牧田彰俊氏が、「好きなことで、生きていく」という言葉が生んだ勘違いについて解説していきます。

「衰退産業」でも「評価が高い会社」の特徴

■衰退産業の場合はどうするか?

 

すでに事業を経営しているケースの場合、順調に業績が伸びている会社であれば問題ありません。しかし、現時点で、もしくは長期的に見て衰退産業、縮小市場であることが明らかなビジネスであれば、売りにくくなるでしょう。

 

例えば、ハンコビジネスなどはその典型です。あるいは紙の媒体量が減っていくため印刷業なども構造不況業種になっています。より広い業態では、仲卸という業態も物流手段や情報が豊富化した現代では、一般的には存在価値が下がっています。

 

では、こういった業種に属する会社のすべてが売りにくいのかといえば、そんなこともありません。業種全体としては衰退傾向にあっても、市場の変化に合わせて事業の革新を進めている会社や、他社にはない独自の競争優位性を保持している会社は、成長の可能性があるとみなされます。

 

例えば、ハンコ業界においても、シヤチハタはいち早く電子印鑑への取り組みを進めています。自社のビジネスを「印鑑というモノを売る商売」から、「書類を承認するしくみを売る商売」だと定義し直すことにより、モノを売らなくても収益が上がるしくみを構築しました。

 

まさに時流をとらえた、DX(デジタルトランスフォーメーション)の好例でしょう。もし自社が衰退産業にあると自覚しているのであれば、一層積極的にこのようなトランスフォーメーションを進めていくことが、M&Aイグジットへの近道となるでしょう。

 

また、印刷業界においては、会社をまたいで印刷機の空き情報をデジタルネットワークで結びつける方法により、印刷の価格破壊を実現したラクスルの例があります。これも、印刷機という設備が余っていくという時流をとらえて、新しいビジネスを構築した例です。

 

仲卸では、水産仲卸の会社が漁港に冷蔵倉庫を建てて、漁師さんから買い付けた魚を直接自社倉庫に保管して、そのままエンドユーザーに届けるプラットフォーマーになってしまった、という例もあります。

 

あるいは、私の知人が経営している印刷会社では、以前は総合印刷として多種多様な印刷に対応していたのを、同業他社には難しい特殊印刷だけに特化して、売上規模は落ちたものの利益率・利益額は大きく向上しました。

 

この会社はM&Aはしていませんが、もしM&Aをする場合、利益率の低い総合印刷のときよりも、特化型印刷会社になってからのほうが売りやすくなることは間違いありません。

 

このように、なにかを付け加えていくプラスの変化だけではなく、競争優位性のある分野にだけ特化していくというマイナスの変化によっても、M&Aイグジットしやすい会社に変わることが可能となります。

 

いずれの例にしても、「この業界はこのままではダメだよね、先がないよね」と気づいたときに、時流にあわせてビジネスモデルをチェンジするなどの経営革新ができるかどうかが、ポイントになります。

 

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シリアルアントレプレナー 連続起業家

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牧田 彰俊

幻冬舎MC

日本でも脚光を浴びつつある『連続起業家』という生き方。 150件を超えるM&Aのサポートをした著者が、連続起業家になるための失敗しない起業・会社売却の成功サイクルを解説する! 最近広く知られるようになってきた「連続…

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