「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。年金300万円、貯蓄5000万円の小川さんの事例をもとにシミュレーションしていきます。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

国民年金が満額に満たない人は任意加入の検討を

65歳から増えた公的年金をさらに70歳まで繰下げ受給をすると、夫の年金は298万円になり、国民年金基金をあわせると319万円になります。妻の年金は156万円になり、国民年金基金をあわせると171万円になります。

 

70歳以降の夫婦の年金受給額が490万円になり、年間の支出より若干少なくなります。その足りない分の月額10万円は貯蓄からと取りくずしになりますが金額が少ないので十分持ちます。こうすれば、一生涯の老後資金が安泰になります。もっとも、5000万円の老後資金を準備するのは、そもそもたいへんですが…。

 

国民年金は20歳から60歳までの40年間、ひと月の欠けもなく保険料を納めると、満額受給になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
国民年金は20歳から60歳までの40年間、ひと月の欠けもなく保険料を納めると、満額受給になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

国民年金に任意加入して増額する

 

国民年金は20歳から60歳までの40年間、ひと月の欠けもなく保険料を納めると、満額受給になります。しかし、学生の間は加入していなかったり、転職の合間は未加入だったりと、満額の条件を満たしていない人も多いのです。

 

こういうときは60歳から65歳まで任意加入し、満額にすることができます。任意加入ができる条件は、国民年金の保険料納付が40年未満。そして、厚生年金に加入して働いていない方です。

 

国民年金は、10年以上加入すれば受給資格は得られますが、一生涯で考えると満額か、それに近いほうが有利になることはいうまでもありません。ちょっと比較してみましょう。

 

●満額の場合

受給額(2018年4月)…77万9300円
65歳から100歳まで受け取った総額…2727万5500円

 

●10年の加入歴

受給額…19万4825円
65歳から100歳まで受け取った総額…681万8875円

 

差は一目瞭然です。

 

もちろん、国民年金の支払い義務は60歳で終わります。それ以上払って、どのくらい得をするのかと疑うかもしれません。では、損益分岐点を考えてみましょう。

 

満額の77万9300円を40年で割ると、約1624円。つまり、1か月保険料を払ったら、年金が1624円増えるわけです。

 

国民年金の保険料は、1か月1万6340円(2018年度)です。

 

「1万6340円払っても、増えるのは1624円ぽっち? 大損じゃないか!」と、文句をいいたくなるのも無理はありません。

 

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