近年、台風や豪雨などによる災害が多発し、火災保険の重要性が再認識されています。ここでは保険金に関する基礎知識や、保険加入前にチェックしたいポイントについて解説します。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。
火災保険は「住めない状態」なら全損(全焼)扱い
火事で家が焼けてしまったとき、「柱が1本でも残っていると全焼にならないので、保険金が支払われない」と勘違いされている方がたくさんいらっしゃいます。火災保険の相談でもよくある質問です。火事で家がほとんど焼けてしまったときは、保険金額を上限として修理や再築、再取得のために必要となる実際の損害額が保険金※1として支払われるため、柱が1本残っていても住めない状態になったら全損(全焼)扱いになります。
※1:自己負担額や免責金額がある場合はそれを差し引いた金額。
保険会社によっては、「保険の対象である建物の焼失・流失または損壊した部分の床面積が、保険の対象である建物の延床面積の80%以上である損害」や「建物の損害の額が再取得価額(保険金額)の80%以上になった場合」のことを全損(全焼・全壊)と定義していて、該当するときは保険金額の全額が支払われます。
【保険金が全額支払われるケース】
①全焼した場合
②修理、最築、再取得のための金額が保険金額を上回った場合
③延べ面積の80%以上が焼失または流失した場合
④損害額が再取得額(保険金額)の80%以上になった場合
なお、損害保険金の支払いが1回の事故で保険金額の80%を超えたとき、保険契約は終了するのが一般的です。80%を超えないかぎり保険金の支払いが何回あっても、保険金額が減額されたり保険料を追徴されたりすることなく、契約は満期日まで続きます。
すべてを保険でカバーできるわけではない
損害が発生したときは、故意あるいは重大な過失、戦争・内乱などの事変や暴動によるもの以外、原則保険金が支払われます。しかし、保険金の支払いには条件があったり、自己負担額(免責金額)が設定されていたりする場合もあります。
例えば「水災」で保険金が支払われるのは、「再調達価額の30%以上の損害が発生した場合」や「床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水による場合」に限られている場合がほとんどです。
「風災・ひょう災・雪災」による損害では、損害の額が20万円以上の場合にのみ保険金が支払われる「20万円フランチャイズ」といった条件があるときや、自己負担額が設定(0〜10万円程度)されていることがあるため、保険金は実際に修復に必要な金額から自己負担額を差し引いて支払われます。
また、「破損・汚損等」では、建物・家財それぞれに1万円の自己負担額が設定されていたり、家財が保険の対象の場合、支払われる保険金が1個または1組ごとに30万円が限度となっていたりします。
なお、自己負担額は、あらかじめ決められているものや任意で選択するものなど、保険会社や商品によって異なります。
どのような損害に対して保険金が支払われ、どのような損害時にいくらぐらいの自己負担額が設定されているか理解したうえで、必要な補償を検討しましょう。
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1968年愛知県生まれ。南山大学経営学部卒業後、北米大陸をオートバイで周遊。帰国後、保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。
FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツ制作を手がける。2017年9月に社名を金融デザイン株式会社に変更。インフォグラフィックスやウェブのデザインまで領域を広げる。自社開発の「持ち味マネーカード(お金占い®)」を武器に、個人向けオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
生命保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
お金をためる・ふやすで失敗しないための3か条を学ぶ「お金の知恵アカデミー」発信の「1分で身につくお金の知恵」を掲載。
https://okane-chie.com/
著者プロフィール詳細
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連載自然災害に備える!火災・地震保険とお金の基礎知識
金融デザイン株式会社 取締役
1級ファイナンシャルプラニング技能士
宅地建物取引士
大学卒業後、信託銀行に就職、人事部配属。宅地建物取引主任者の資格を取得し、念願叶い不動産部で働くも、お客様と銀行のハザマで苦悩する。「この人、この不動産買っても大丈夫だろうか」と思っても言えなかった罪悪感がその後私をFPへ導いてくれたのかも。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。2010年まで女性3人で活動、年間300件の相談業務を行う。
2010年より金融デザイン株式会社(旧株式会社マネーライフナビ)の取締役。長年、個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成を、個人向けには失敗しないためのお金の知恵を学ぶオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
「住宅ローン」賢い人はこう借りる! (共著、PHP研究所)
「マイホーム」賢い人はこうして買う! (共著、PHP研究所)
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株式会社MKM 代表取締役
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管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
1970年千葉県生まれ。住友林業株式会社、家業の建設会社でもある三上板金工事 有限会社、個人向け不動産コンサルティングを行う株式会社さくら事務所、中古 リノベ事業をリノベ不動産として展開する株式会社WAKUWAKU、総合資格学院の宅建講座の宅地建物取引業専属講師を経て、株式会社MKMを立ち上げる。資格予備校にて宅地建物取引士試験講座の宅地建物取引業法専属講師。個人及び法人向け講演および執筆実績多数。
【主な著書】
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宅地建物取引業者向けに中立的な第三者として、取引の安全性を図るエスクローサービスに取り組んでいます。
https://mkm-escrow.com/
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