(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、台風や豪雨などによる災害が多発し、火災保険の重要性が再認識されています。ここでは保険金に関する基礎知識や、保険加入前にチェックしたいポイントについて解説します。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。

火災保険は「住めない状態」なら全損(全焼)扱い

火事で家が焼けてしまったとき、「柱が1本でも残っていると全焼にならないので、保険金が支払われない」と勘違いされている方がたくさんいらっしゃいます。火災保険の相談でもよくある質問です。火事で家がほとんど焼けてしまったときは、保険金額を上限として修理や再築、再取得のために必要となる実際の損害額が保険金※1として支払われるため、柱が1本残っていても住めない状態になったら全損(全焼)扱いになります。

 

※1:自己負担額や免責金額がある場合はそれを差し引いた金額。

 

保険会社によっては、「保険の対象である建物の焼失・流失または損壊した部分の床面積が、保険の対象である建物の延床面積の80%以上である損害」や「建物の損害の額が再取得価額(保険金額)の80%以上になった場合」のことを全損(全焼・全壊)と定義していて、該当するときは保険金額の全額が支払われます。

 

【保険金が全額支払われるケース】

①全焼した場合

②修理、最築、再取得のための金額が保険金額を上回った場合

③延べ面積の80%以上が焼失または流失した場合

④損害額が再取得額(保険金額)の80%以上になった場合

 

なお、損害保険金の支払いが1回の事故で保険金額の80%を超えたとき、保険契約は終了するのが一般的です。80%を超えないかぎり保険金の支払いが何回あっても、保険金額が減額されたり保険料を追徴されたりすることなく、契約は満期日まで続きます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

すべてを保険でカバーできるわけではない

損害が発生したときは、故意あるいは重大な過失、戦争・内乱などの事変や暴動によるもの以外、原則保険金が支払われます。しかし、保険金の支払いには条件があったり、自己負担額(免責金額)が設定されていたりする場合もあります。

 

例えば「水災」で保険金が支払われるのは、「再調達価額の30%以上の損害が発生した場合」や「床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水による場合」に限られている場合がほとんどです。

 

「風災・ひょう災・雪災」による損害では、損害の額が20万円以上の場合にのみ保険金が支払われる「20万円フランチャイズ」といった条件があるときや、自己負担額が設定(0〜10万円程度)されていることがあるため、保険金は実際に修復に必要な金額から自己負担額を差し引いて支払われます。

 

また、「破損・汚損等」では、建物・家財それぞれに1万円の自己負担額が設定されていたり、家財が保険の対象の場合、支払われる保険金が1個または1組ごとに30万円が限度となっていたりします。

 

なお、自己負担額は、あらかじめ決められているものや任意で選択するものなど、保険会社や商品によって異なります。

 

どのような損害に対して保険金が支払われ、どのような損害時にいくらぐらいの自己負担額が設定されているか理解したうえで、必要な補償を検討しましょう。

 

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石川 英彦,高田 晶子,三上 隆太郎

自由国民社

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