前回は、既存物件を楽器可防音賃貸マンションに転用する難しさについて説明しました。今回は、新築の「楽器可物件」が市場に大量に供給される可能性を見ていきましょう。

新規の「楽器可物件」が大量供給される可能性は低い

前回、前々回で説明したように、既存物件を楽器可物件に転用することはそもそも物理的に難しく(鉄骨・木造の場合)、また物理的に可能であっても(鉄筋コンクリート造の場合)、防音工事や構造計算等に莫大なコストがかかるおそれがあり、およそ現実的ではないといえます。

 

では、新築物件についてはどうでしょうか。すなわち、新築の形で楽器可物件が市場に大量に供給される可能性はないのでしょうか。

 

結論から述べれば、その可能性は極めて低く、またたとえ供給されたとしても、楽器演奏愛好家たちのニーズを十分に満足させるような楽器可物件は、ごくわずかにとどまることが予想されます。

既存の業者には防音建築のノウハウが少ない

第一に、大手ハウスメーカーやディベロッパーが、楽器可防音賃貸マンションのマーケットに積極的に参入してくることはまずないからです。

 

そもそも既存の業者のほとんどは、防音建築の受注実績が少ないため、楽器可物件の開発に必要とされるノウハウを十分に備えていません。

 

そのため、仮に大手ハウスメーカーの特建事業部に依頼しても、防音建築施工実績のある現場監督を確保することは難しく、極めて高額な追加防音設計・追加防音施工コストを請求されることになるでしょう。

 

防音設計実績のある設計事務所、防音建築施工実績のあるゼネコン、さらには工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているか否かを確認する、経験豊富な一級建築士の三者が揃わない限りは、品質の高い防音マンションの建設はまず不可能なのです。

 

そして、このような体制を備えているハウスメーカー、ディベロッパーは大手には存在しません。事実、大手業者が主体となった防音性能の高い楽器可物件の供給はこれまでほとんどなされてこなかったのが実情なのです。

本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『"楽器可防音マンション経営"で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

大塚 五郎右エ門

幻冬舎メディアコンサルティング

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