リニア開発の恩恵を受ける「品川区」
品川区はこれまで、ターミナル駅である品川駅を中心に数多くの企業がオフィスを構えてきました。そのため、ビジネスパーソンを中心に安定した賃貸需要が確保されてきましたが、今後さらに賃貸マーケットの拡大が見込める大きなイベントが控えています。
まず一つは、現在進められている大規模な再開発事業です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて都心部ではいたるところで再開発が計画されていますが、その中で最もスケールが大きく注目を集めているのが、品川エリアの再開発なのです。
この再開発事業の中核となるのは、品川駅と田町駅の間にできる山手線・京浜東北線の新駅です。車両基地の見直しで生じる約13ヘクタールの広大な敷地の中に設置され、オリンピック開催にあわせて暫定開業する予定です。一帯にはマンション、オフィスや商業施設が入る高層ビルも建設されます。
またもう一つの〝ビッグ・イベント〞は、リニアモーターカー(リニア)の開通です。リニアは品川駅と名古屋駅の間を最速40分で結ぶことが予定されています。開通は2027年になりますが、それに伴うインフラ整備の恩恵を最も享受するといわれているのが品川区なのです。そのために、オリンピックの後もリニアへの期待から品川区の不動産価格は上昇し続けることが予想されています。
陸・空と交通手段が最も充実した「大田区」
大田区に対しては、同区が〝モノづくりの町〞として知られているために町工場の立ち並ぶイメージをもつ人が多いかもしれませんが、実は閑静な住宅街も少なくありません。高級住宅地の代名詞として知られるあの田園調布も大田区の中にありますし、山王、雪谷、久が原なども快適な住宅地として昔から根強い人気を誇ってきました。
また、大田区役所をはじめとした行政機能が集まっている蒲田には一大商業エリアが形成されており、ショッピングの楽しみも満喫することができます。しかも、大田区は、環状八号線、環状七号線、第一京浜、第二京浜、中原街道、池上通り、多摩堤通り、産業道路などの主要道路が走り、鉄道もJR京浜東北線、東急池上線・多摩川線、京急本線・空港線など複数の路線を利用できます。
さらには、空の玄関・羽田空港も擁しており、交通手段が最も充実したエリアといえるでしょう。さらに、品川区と同様、大田区でも現在、大規模な再開発プロジェクトが進行しているところです。
一つは羽田空港の拡張事業です。2010年に4本目の滑走路が整備され、国際線旅客ターミナルも増築されました。その結果、2014年度には国際線の発着枠が年3万回増え、これまでの1.5倍にあたる年9万回へと拡大しました。目下、東京オリンピックにあわせて新たに5本目の滑走路整備の話ももちあがっています。
またもう一つ、現在、京急線の連続立体交差化とあわせて、「京急蒲田」駅西口約1ヘクタールの区域において大規模な再開発が進められています。2015年12月20日、東急線に「蒲蒲線」の絵が描かれたラッピング電車が登場し、人々を驚かせました。
「蒲蒲線」とは、約800メートル離れている東急・JR蒲田駅と京急蒲田駅を接続する新路線の構想です。羽田空港に直結している京急空港線と東急多摩川線を連携し、空港アクセス線として活用するために「新空港線」とも表現されており、実現が期待されています。
とりわけ、羽田空港の拡大は、国内外への出入り口として大田区の魅力を、今後より高めることになるでしょう。国内はもちろん国外からも多くの人を引き寄せるはずであり、同区の発展がさらに促されるのは間違いありません。