「日本の携帯電話料金は高すぎる!」と度々いわれてきましたが、2021年3月に携帯大手三社が新料金プランを発表し、大幅に通信料は減少。消費全体にも影響を及ぼしたといわれています。しかしすべての人が通信料の大幅値下げの効果を享受できているとはいえないようです。

携帯新プランで「消費総合指数」も減少したが…

いまやスマホは高齢者にとっても必需品だが…(※画像はイメージです/PIXTA)
いまやスマホは高齢者にとっても必需品だが…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

このような携帯電話料金の値下げ合戦にも一服感がありますが、実際、多くの人が新プランに乗り換えるなどして、その効果を実感しているのではないでしょうか。

 

では今回の通信料の大幅な値下げ、どれほどの効果があったのでしょうか。総務省『全国消費者物価指数(4月)』によると、「通信料(携帯電話) 4 」の指数が前年同月比26.5%下落。その影響は大きく、「総合指数」も前年同月比-0.7%、天候に左右されて変動の大きい生鮮食品を除く「コア指数」も前年同月比-0.5%、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く「コアコア指数」も前年同月比-0.5%となりました。

 

さらに総務省『家計調査』で「通信費」について比較していきましょう。

 

まず二人以上世帯。2021年4月の通信費は1万3236円で前年同月比0.1%増と、値下げプラン導入の効果が見られませんでした。一方で勤労世帯に限って見ていくと、2021年4月の通信費は1万5596円と前年同月比2.8%減、無職世帯の2021年4月の通信費は9723円で前年同月比5.4%増となりました。携帯電話料金の値下げ効果を実感した人は、勤労者がいる世帯で多いようです。

 

次に勤労世帯に絞り、世帯主の年齢別に見ていきます。世帯主50代までは前年前月比マイナスを記録し、特に世帯主「40~44歳」世帯は前年同月比24.0%減と、値下げ効果を大いに享受できたと推測できます。一方、高齢者世帯では携帯電話料金の減少は見られません。

 

【世帯主の年齢別2021年4月の通信料】

「~34歳」12830円(前年同月比5.8%減)

「35~39歳」12994円(前年同月比5.0%減)

「40~44歳」12994円(前年同月比24.0%減

「45~49歳」17390円(前年同月比3.4%減)

「50~54歳」18021円(前年同月比5.4%減)

「55~59歳」17870円(前年同月比2.6%減)

「60~64歳」16129円(前年同月比15.6%増)

「65~69歳」14911円(前年同月比13.0%増)

「70歳~」10916円(前年同月比0.6%減)

 

出所:総務省『家計調査家計収支編』より

 

また携帯電話料金(通信費)の削減率を47の県庁所在地別に見ていくと、1位の「福井市」、2位の「金沢市」のほか、22の都市で削減効果を得ていますが、ほかは前年同月比プラス。地域によって、削減効果はまちまちのようです(関連記事:『県庁所在地調査…新プラン導入で携帯電話料金が減ったのは?』

 

このように、今回の「大手三社の新プラン導入で通信料が下がった! 消費全体にも大きな影響を及ぼした!」と報じられましたが、値下げ効果を享受できたのは限定的。当初、新プランはWEBでの手続きに限定していたため、特にネットに不慣れな高齢者は、興味はあるけれど手続きが難しくて断念……。家計調査によって「携帯電話料金の値下げ合戦」から取り残される高齢者の姿が鮮明になりました。

 

4月以降、窓口で申込みをサポートしてくれる有料サービスがスタート。取り残された高齢者も通信料の引き下げ効果を実感できる土台は整いつつあります。

 

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