公的年金頼りの日本、自己責任の米国
内閣府『令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』では、日本のほか、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの高齢者の生活や意識を考察しています。
この調査から、高齢者の暮らしぶりについて見ていきましょう。
まず高齢者の主な収入源について、「公的年金」の割合が最も高いのは「日本」で67.4%。「アメリカ」53.5%、「ドイツ」69.9%、「スウェーデン」45.7%と割合に違うはあれど、「高齢者は年金が頼り」というのは変わらないようです。
ただ「公的年金」の割合を前回調査時との推移で見てみると、日本は3.4ポイント減、「アメリカ」1.5ポイント減と大きく変わっていないのに対し、「ドイツ」は7.3ポイント減、「スウェーデン」は26.9ポイント減。公的年金への依存度が下がっています。
また「仕事による収入」が最も高いのも「日本」で20.8%(「アメリカ」17.3%、「ドイツ」16.2%、「スウェーデン」15.8%)。一方「私的年金」が最も多いのは「アメリカ」で11.3%(「日本」1.7%、「ドイツ」3.0%、「スウェーデン」2.2%)。「すべてが自己責任」といわれるアメリカ社会の実情が色濃く反映された結果になっています。
収入格差が小さい日本とドイツ、格差が大きい米国
次に1ヵ月あたりの平均収入額を比較していきましょう。
「日本」では平均25万7000円。前回調査から4万円ほど増加しています。一方「アメリカ」は平均38万7000円(前回調査27万5000円)、「ドイツ」は29万6000円(前回調査4万9000円)、「スウェーデン」は36万9000円(前回調査31万5000円)。
さらに性別にみると、「日本」では「男性」は28万円に対して「女性」は23万7000円で、その差4万3000円。「アメリカ」では「男女差」7万9000円、「ドイツ」では「男女差」7万5000円、「スウェーデン」は「男女差」7万3000円。4ヵ国では日本が最も男女差が少ないという結果になりました。
1ヵ月の収入額の金額別分布を男性に焦点をあてて見ていくと、「日本」で最も多いのは「20~30万円未満」で31.8%、続いて「10万~20万円未満」で23.8%。1ヵ月に手にする収入は、6割弱が「30万円未満」です。「ドイツ」も最も多いのが「20~30万円未満」で22.2%で、「30万~40万円未満」で20.0%、「10万~20万円未満」が19.4%と続きます。1ヵ月に手にする収入は、6割強が「40万円未満」です。
「米国」で最も多いのは「60万円以上」で22.1%。以下各階級(10万円ごと)で10%前後が分布しています。「スウェーデン」も最も多いのが「60万円以上」で21.4%。一方で「20~30万円未満」が19.1%、「30~40万円未満」が16.5%、「10万~20万円未満」が14.7%と、1ヵ月に手にする収入は半数が「40万円未満」。米国のように格差が広がりつつあるのかは、今後、推移を見ていく必要がありそうです(図表1)。
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