(※写真はイメージです/PIXTA)

親が亡くなって「不動産」を相続した場合、売却したほうがいいのか、賃貸に出したほうがいいのか、迷う方は多いはずです。本記事では、その判断の目安について見ていきます。※本連載は、平野克典氏と金子嘉徳氏の共著『相続のお守り』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

相続した家に欠陥があれば、「損害賠償請求」ができる

【事例】
1000万円の実家を相続したDさん。弟のEさんは現金で1000万円を相続しました。しかし、後に実家の老朽化が見つかって、大掛かりな工事が必要となりました。修理費用は900万円。それが最初からわかっていれば、実家を相続なんてしなかったのに……。

 

不動産を相続する場合、こうした「隠れた瑕疵(欠陥や傷)」が潜んでいるリスクもあります。子どもに実家を継いでほしいと考えていても、古い家であれば嫌がられるかもしれません。こうした場合にも、不公平な結果にならないよう担保責任が定められています。

 

この例でいえば、900万円の修理代のうち、450万円を損害賠償請求できるのです。また、分割協議で把握していた坪数が、実際より少なかった場合なども、同様に損害賠償請求できます。

 

損害賠償請求は、瑕疵に気づいてから1年以内に限られています。瑕疵の存在に気づかなかったとしても、引渡しのときから10年以内に限られます。期間には気をつけましょう。

 

瑕疵担保責任は、被相続人の意思により遺言で減免することもできます。1000万円相当の実家だとして、遺言で「長男に実家を相続させる。現金2000万円は、長男に400万円、次男に800万円、長女に800万円相続させる。なお、長男が取得した財産に瑕疵がある場合は長男の負担として、次男と長女には負担させない」旨を書きます。

 

そうすると、仮に600万円の修理代が必要となった場合でも、次男と長女と同額になる(実家1000万円+現金400万円−修理費用600万円=800万円)ため、修理代でもめることはなくなります。

 

もちろん、ほかの兄弟がそもそも遺言内容に納得してくれるか、遺留分は確保されているかはよく考えておく必要があります。

 

 

平野克典

司法書士平野克典事務所 所長・司法書士

 

金子嘉徳

株式会社フロンティアグループ 代表取締役

 

 

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相続のお守り

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平野克典、金子嘉徳

総合法令出版

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