負担増のなか、75歳無職世帯の家計は?
今回の改正法の対象となる75歳以上の家計とは、どのようなものなのでしょうか。総務省『家計調査 家計収支編』2020年で見ていきましょう。
世帯主75歳以上・無職世帯(世帯主平均年齢80.5歳、世帯人数2.33人)の実収入は約25万円で、そのうち公的年金は20万円ほどになります。支出に対して収入のほうが多く、平均にして毎月1万円ほどの余裕があります。
【世帯主75歳以上・無職世帯の家計収支】
「実収入」25万5706円
「公的年金給付」20万0750円
「実支出」24万2900円
「消費支出」21万3303円
「保険医療」1万5079円
「黒字」1万2806円
出所:総務省『家計調査 家計収支編』2020年より
世帯主60歳世帯、世帯主65歳世帯と比べてみると、収入は年齢とともに少々下がりますが、食料や交通通信などに対する支出が減り、黒字額は60歳世帯-1200円、65歳世帯2394円と、年齢とともに拡大していきます。
また医療費も、60歳世帯1万5926円、65歳世帯1万5871円、75歳世帯1万5079円と年齢とともに減少傾向にあります。
厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金月額は14万4268円。75歳では平均14万7957円の年金を手にしています。
【年齢別老齢年金平均月受給額】
60歳 9万1304円
65歳 14万4064円
70歳 14万7292円
75歳 14万7957円
80歳 16万73円
85歳 16万2964円
90歳 16万1044円
厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』
年齢とともに消費は先細りの傾向にありますが、支給される年金額は生涯変わりません。高齢者の負担増に対して様々な意見がありますが、現役世代の負担増に対して是正の声が高まり、今回の法改正に至りました。
2022年以降、団塊世代が後期高齢者になり始め、「2025年問題」に代表されるように、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念されています。現役世代1人あたりで支える高齢者の数も増えていきますので、さらなる負担増はやむを得ない状況です。
自分たちが年金生活を始めるときに、果たして、どれほどの負担を強いられるか……見通しを立てるのも難しいなか、計画的に資産形成を進めることが、唯一の防衛法かもしれません。
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】