多くの日本人が何気なく飲んでいる「コーヒー」と「環境破壊」が密接につながっていることはあまり知られていません。池本幸生氏、José. 川島良彰氏、山下加夏氏の連著『コーヒーで読み解くSDGs』(ポプラ社)のなかで、身近な飲み物であるコーヒーを切り口として、コーヒーと環境について解説します。

コーヒー業界に広がる「つくる責任」への取り組み

前述の認証プログラム以外にも、様々な理念を掲げ、コーヒーのサステイナビリティに関わるプログラムがあります。大手のコーヒー企業は、独自のサステイナビリティに関わる調達プログラムを策定し、実施しています。

 

スターバックス社の「C.A.F.E.プラクティス」、ネスレ社の「AAAサステイナブル・クオリティプログラム」は、第三者機関による農園の審査と農家への様々な支援を組み合わせ、自社の調達計画にサステイナビリティへの配慮を組み込んでいます。

 

また、2015年にはコンサベーション・インターナショナル(CI)がコーヒーを真に持続可能な農産物にすることを目的に、「サステナブル・コーヒー・チャレンジ」というイニシアチブを立ち上げました。

 

これは、コーヒー業界をよりサスティナブルにすることを目指し、生産者、焙煎業者、政府、教育機関など、多様な関係者が自ら新たな目標を宣言、実行、報告するものです。前述の認証団体や、スターバックス社、ネスレ社も名を連ね、認証の範囲を超えた新たな動きを作り出しています。

 

ただ、日本の会社でこの活動に参加しているのは数社しかなく、特に大手コーヒー会社がまったく入ってこないのが残念です。また、団体として規模は小さくても、地域社会に根ざしてコーヒー農家の様々なニーズを支える活動や、小さな農園のサステイナビリティに関わる取り組みも行われています。

 

活動主体や農園主の顔がわかる形で伝えられれば、それはそれでとても付加価値の高いコーヒーとして楽しむこともできますし、消費者の「つかう責任」への意欲を刺激することにもなるはずです。

 

日本にいる消費者の私たちが、常に店頭やレストランでそのようなコーヒーを求め続ければ、コーヒーを通じた「つかう責任」を果たすことができます。

 

そして、日本のコーヒー業界には、サスティナブルなコーヒーを公正な価格で取引する「つかう責任」があるのはもちろん、自社の取り組みに基づき、消費者の「つかう責任」を喚起する責任があるのです。

 

 

池本 幸生
東京大学東洋文化研究所教授

 

José.川島 良彰
株式会社ミカフェート 代表取締役社長

 

山下 加夏
ミカフェート・サステイナブル・マネージメント・アドバイザー

 

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コーヒーで読み解くSDGs

コーヒーで読み解くSDGs

Jose.川島 良彰、池本 幸生、山下 加夏

ポプラ社

あたなの知らない、コーヒーとSDGsの世界。 コーヒー、経済、開発援助の専門家3名がいざなうコーヒーで未来を変える旅。 コーヒーには、SDGsのアイデアがあふれている! #コーヒー危機と世界経済 #コーヒーがもたら…

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