「iDeCo」で公的年金の「上乗せ部分」を積み立てる
つみたてニーサと並んでドルコスト平均法が活用でき、非課税のメリットも享受できるのが「iDeCo」(個人型確定拠出年金、以下、「イデコ」)です。イデコは国が定める「確定拠出年金法」に基づく私的年金制度で、基本的に20歳以上60歳未満の人なら誰でも加入することができます。
自分で掛金を払い(拠出と言います)、自分で決めた運用方法で運用し、60歳以降に老齢給付金として受け取ることができる仕組みになっています。
●掛金について
イデコの掛金は、国民年金の種別や職業別年金制度の加入状況によって、上限額が決められています。
この拠出限度額の範囲内であれば、月々5000円から1000円単位で掛金を自由に設定することができます。なお、掛金が払えないなどの理由で中断した場合でも、60歳になるまでお金を引き出すことはできません。これが最大のデメリットです。
●運用について
運用商品は運営管理機関(金融機関)が選定したものの中から、自由に選んで組み合わせて運用することになります。誰かが運用方法を決めてくれるというものではないので、運用商品についてある程度の知識を持つことが必要になるでしょう。
●受取方法について
イデコで積み立てた年金資産は、基本的に60歳から受け取ることができます。受取方法は、
1. 60歳から70歳までの間に、一時金として受け取る方法
2. 60歳から5年以上20年以下の有期年金として受け取る方法
のいずれかで、運営管理機関によっては、
3. 60歳時に一部の年金資産を一時金として受け取り、残りを年金として受け取る方法
もあります。
●受給開始年齢
先ほどから「基本的には60歳から受け取れる」と繰り返しているのは、年金資産の受け取りにはイデコに加入していた期間が10年以上必要だからです。
もし60歳時に加入期間が9年しかなければ受給開始は61歳に、7年しかなければ受給開始は62歳にと繰り下がります。
●iDeCoに加入するには?
イデコに加入する場合、イデコを取り扱う運営管理機関を通して、加入の申し出をします。運営管理機関によって取り扱う運用商品や毎月の口座管理料などが異なりますので、事前によくチェックするようにしてください(参照:iDeCo公式サイト「運営管理機関一覧」)。
iDeCoの「税金上のメリット」2つ
イデコの税金上のメリットは2つあります。
ひとつは運用益が非課税になるということ。これはつみたてニーサなどにもあるメリットです。もうひとつのメリットは、掛金として払った分が所得控除の対象になることです。たとえば、会社に企業年金がない人の掛金の上限は2万3千円です。すると、上限の掛金で加入していた人の年間の掛金は、
2万3千円×12ヵ月=27万6千円
となります。この掛金に対して所得控除がされるので、その人の税率が33%だとすると、
掛金27万6千円×33%=9万1千円
この分が年末調整で戻ってくることになります。税率10%の人でも約3万円が戻ってくるわけです。これは、かなり大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
石田 昇吾
クライサー税理士法人 代表税理士
株式会社TAXプラス 代表取締役
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】