問題地の典型といえる例といえる貸宅地。処分にあたっては等価交換の手法を用いることができますが、今回は、できるだけ高値で処分するためのポイントを見ていきましょう。

借地人が家を建て替える時を待って仕掛ける

問題地の典型例といえる貸宅地ですが、前回述べたとおり、ストレートに借主に貸宅地の購入を申し出るのは決して得策ではありません。では、どうすればよいのでしょうか。一つの方法として、借主が住んでいる家を建て替える時期がくるのを待つのです。

 

そしてその時期がきたら、「Bさん、せっかくですから、この機会にあなたも自分の土地を欲しくないですか。この先も地代をいちいち払い続けるのは面倒で煩わしいでしょう。よろしければ、今お貸ししているこの土地は60坪ありますから、30坪をあなたに差し上げます。そこに新しいお宅を建てられたらいい。その代わり、残り30坪はお返しください。いかがですか」などと提案するのです。

 

要するに、Bに貸し出している60坪の土地が現状で1000万円の価値を持っているとしたら、Aは前述したようにそのうちの4割に相当する400万円を、Bはそのうちの6割に相当する600万円をそれぞれ分け合っている状態にあります。それを、土地を半分に分割し、30坪の土地の所有権をAが、残り30坪の土地の所有権をBが持つような状態にするわけです。

 

この提案を図示すれば、下図のようになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし借主がこの提案を受け入れてくれるのであれば、結果的に、底地と借地権の割合が「5対5」の状態で、Aは底地を処分し、Bとの関係を解消できることになります。

 

たとえば、借主が、「自宅の坪数は減るが、それでも借りている土地ではなく自分の所有物になる方が、将来、自由に売却できるし有利だろう」などと考えれば、提案を受け入れてくる可能性は高いでしょう。

 

その結果Aは、本来であれば貸宅地における地主としての権利は4割にあたる24坪にしか及びませんでしたが、等価交換によって、自分の好きなように利用・処分しうる30坪の更地を手に入れたことになります。実質的には、相場の「4対6」よりも高い、500万円という価格で底地をBに売却できたということになるわけです。

 

これが等価交換の手法です。

等価交換は一にも二にもタイミングが大事

この等価交換が成功するか否かは、一にも二にも、貸主が借主に話をもちかけるタイミングに全てがかかっています。借主側が貸主側の申し出を受け入れてくれそうな状況の時に、仕掛けなければなりません。

 

その際には、「よろしければ、建物の取り壊し費用はこちらでもちますよ」などと、一言付け加えてみてもよいでしょう(ほとんどの場合は、建物の取り壊し費用を負担しても等価交換できる方が利益になるはずです)。建て替え時の取り壊し費用は、本来、借主が負担すべきものなので、相手は「それなら、この話に乗らない手はないな」と、さらに身を乗り出してくるはずです。

 

場合によっては、等価交換の提案をきっかけとして、逆に借主の方から、「実は、私ももう歳をとったので、息子の世話になろうと考えているところでした。よろしければ、借地権を買い取ってくれませんか」などと話をもちかけられるかもしれません。そのような願ってもいない展開になれば、より有利な価格で借地権を買い取ることが可能となるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、この等価交換の提案は、あくまでも貸主の相続が発生するまでに、タイミングを見計らって行わなければなりません。相続が始まってから話をもちかけても、借主は、「ははーん。貸宅地を整理して、その資金を相続税に充てようとしているのだな」と完全にこちらの足元を見てくるはずです。

 

したがって、等価交換の戦略は長期的な視点のもとで行わなければなりません。10年、20年というスパンの中で、「おそらく5年後には建て替えの時期になるだろう。その時に、等価交換の話をもちかけよう」と仕掛けるタイミングを慎重にかつ虎視眈々と見定めておくのです。

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    本連載は、2014年1月31日刊行の書籍『相続財産を守りたければ不要な土地は片付けなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    小池 誠一郎

    幻冬舎メディアコンサルティング

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