「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

e-Taxは使い慣れれば確定申告は簡単に

e-Taxを使ったことのない人は、「難しいのでは」と思われるかもしれません。でも、使い慣れれば、むしろスムーズに確定申告をすることができます。基本的に24時間いつでも確定申告ができますし、切手や封筒の準備も必要ありません。土日でも申告期限の3月15日の夜でも、確定申告の手続きを完了させることができます。

 

ただし、はじめてe-Taxを利用するには、準備が必要です。とりあえず、インターネットに接続できるパソコン、マイナンバーカード(電子証明書)、そのカードを読み取るリーダーを用意する必要があります。

 

また、事前にe-Taxの開始届出書を税務署に提出し、「識別番号」と呼ばれるナンバーを取得しなくてはなりません。

 

e-Taxのメリットは、「申告誤りのリスクを下げる」という点にもあります。私も税務職員時代は確定申告書のチェックをおこなっていましたが、やはり手書きの申告書のほうが、誤りは多かったと記憶しています。どうしても税率を間違えたり、足し算や引き算が違っていたりということが起きてしまいます。その点、e-Taxは、入力間違いさえしなければ、システムが正しく計算してくれます。

 

それでも、「e-Taxは準備が面倒くさい」と思われるかもしれません。そういう方は、少なくとも国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を使って、確定申告書をつくるようにしましょう。ここからプリントアウトしたものを郵送すれば、それで確定申告が終わります。

 

郵送するときには、「郵便や信書便」を使って送るようにしてください。そうすると、消印の日付に確定申告書を提出したという扱いになるので、税務署に期限後に到着したとしても問題はありません。逆に、レターパックや宅配便で送ると、税務署に到着した日が申告日という扱いになるので、注意してください。

 

まとめると、青色申告をしている人は、節税効果があるのでe-Taxで確定申告をすることをおすすめします。それ以外の場合は、郵送でも問題ありませんが、国税庁ホームページを使うなどして、計算間違いのない申告書を作成するようにしましょう。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年4月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

    確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

    小林 義崇

    河出書房新社

    クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ