未上場企業が証券取引所に上場して、誰もが株を取引できるようにすることをIPOといいます。IPOを目指す起業家は少なくありませんが、意外なデメリットも存在しているのです。M&AアドバイザリーサービスだけでなくM&A後の統合作業や組織再編、事業再生などのサービスを提供する株式会社すばる代表取締役の牧田彰俊氏が解説します。

「上場企業の社長」がタフである理由は?

IPOのデメリットとしてもうひとつよくいわれるのが、自由がなくなるということです。上場企業は四半期ごとに決算と次の目標を開示しなければならず、目標が達成できなければ、株主から批判されます。常に不特定多数の株主にチェックされて、成長を続けることが求められるのは、並大抵のプレッシャーではありません。

 

リスクの高い新規事業に挑戦して失敗すればもちろん非難されて経営能力を問われますし、かといって、新規事業に投資せず、現預金比率を高めていると、それはそれで無駄にキャッシュを貯め込み株主還元もしていないと批判されます。

 

非上場時代のような好き勝手な経営はできなくなるのです。また、上場企業はパブリックなものであるとの見方から、メディアなどからは、その経営者も公人に近い扱いを受けます。週刊誌に狙われたりしますし、もし経営者本人が不祥事などを起こした場合は、新聞などでも大きく報道されることになるでしょう。

 

このようなことがあるので、上場企業の社長に向いている人は、ある程度「鈍感力」が強い人だといえるかもしれません。IPOには、メリットとデメリットがありますが、だれにでも向いているわけではないということです。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

それでも、M&A市場が未成熟だった昔なら、ほぼIPOを目指すしかイグジットの選択肢がありませんでした。しかしM&A市場が拡大している現在では、以前なら当然IPOを目指していたようなレベルの会社の起業家でも、IPOではなくM&Aイグジットを目指すケースが増えているのです。

 

 

牧田 彰俊

株式会社すばる

代表取締役

 

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