大人になったらなりたいもの……親世代であれば、野球選手や歌手・芸能人など、夢のまた夢、というような職業が上位を占めていました。ところがいまの子どもたちは「大人になったら会社員になりたい」といいます。毎日、汗水流して働いている会社員としては、嬉しい限りですが、「本当か?」という疑念も。子どもたちが憧れる会社員の現状を見ていきます。

会社員人生を終える時…手にする退職金額は?

高齢化の影響もあり、定年年齢は上昇傾向にありますが、無事、会社員人生をまっとうしたときには、退職金を手にすることになります。ただ、絶対ではありません。厚生労働省『 平成30年就労条件総合調査』によれば、退職給付(一時金・年金)制度がある企業は従業員1000人以上の企業で92.3%に対し、30~99人の企業で77.6%。大企業で12人に1人、小企業であれば5人に1人程度は退職金を手にすることはありません。

 

仮に退職金を手にできるとしましょう。退職金は学歴と勤続年数によって金額を設定している企業が多く、定年退職による平均退職金額は、大学・大学院卒(管理・事務技術職)で1983万円。自己都合になると、大学・大学院卒で1519万円、早期優遇退職(企業が人員の削減のために従業員が有利な条件を示すことで従業員が自らの意思でこれに応じ、労働契約の解除をすること)の場合は、大学・大学院卒で2326万円となります。

 

現役の間の家計についても見ていきましょう。総務省の『2019年家計調査』によると、二人以上世帯の貯蓄現在高は、40歳未満世帯で平均691万円、40〜49歳世帯で1076万円、50〜59歳世帯で1704万円、60〜69歳世帯で2330万円。

 

一方で負債現在高は、世帯主40歳未満世帯で平均1341万円、40〜49歳世帯で1124万円、50〜59歳世帯で652万円、60〜69歳世帯で250万円。

 

貯蓄現在高から負債現在高を引いた純貯蓄現在高は、世帯主40歳未満世帯で平均−650万円、40〜49歳世帯で−48万円、50〜59歳世帯1052万円、60〜69歳世帯で2080万円。つまり50代に突入して、初めて家計は本当の意味で黒字化。それまでは、多くが苦しい家計運営に悩まされることになります。

 

もちろん家計が黒字化したからといって、人生がバラ色になるわけではありません。それから10年ほどで年金生活に突入します。

年金頼りの生活…手にする平均年金額は?

厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年金支給の始まる65歳で手にする「年金額」は平均14万円程度。総務省『2020年家計調査家計収支編』によると、無職の65歳以上夫婦がもらえる「公的年金の平均額」は21万8980円。それに対して、「平均消費支出」は25万5549円。年金頼りの生活の場合、月々約4万円ほど不足する計算で、それを貯蓄でまかなうことになります。

 

■年齢別老齢年金平均月受給額

60歳 91304円

65歳 144064円

70歳 147292円

75歳 147957円

80歳 160073円

85歳 162964円

90歳 161044円

 

出所:厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

 

平均年収は500万円弱で、必死に働き給与を手にするも、ほとんどの期間「お金が足りない」と悩み、現役を引退後もやはり「お金が足りない」と悩み続ける……このような会社員の現状を子どもたちに伝えたら、何と思うでしょうか。本当に「大人になったら会社員になりたい」と答えてくれるか……疑問です。

 

もちろん、会社員といっても職種は数えきれないほどありますし、細かく聞いていけば、また違う意見も見えてくるでしょう。またここであげたのは現在の「会社員」の平均像。子どもたちが大人になったとき、ほんとうに「会社員」が憧れる職業No.1にふさわしいものになっている可能性もゼロではありません。

 

 

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

参照:「第一生命『大人になったらなりたいもの』アンケート」

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録