※画像はイメージです/PIXTA

「人生100年時代」となった日本。老後の生き方について考える必要性が高まり、「終活」という言葉も一般的なものとなりました。日本人の終活にまつわるトラブルの実例とその解決策を「終活スペシャリスト」が詳しく解説します。

「物への執着」の裏には、将来への不安が隠れている

終活準備が足りていないと、どのようなトラブルが起こり得るのか、『「直葬にしてくれ」…亡父の願いを聞いた長男に、訪れた悲劇【終活スペシャリストの実録】』に引き続き、具体例と予防策を見ていきましょう。大切な家族につらい思いをさせないためにも、必要な準備があるはずです。

 

●ケース1 「もっと早く実家の片付けを手伝っておけばよかった!」

 

G子さんの母親は7年前に父親が亡くなって以来、一人暮らしをしています。

 

先頃80歳の誕生日を迎えましたが、少々血圧が高い以外、これといって体の不調はありません。実家はG子さんの自宅から遠いので、行くのはお盆とお正月程度でした。

 

若い頃からあまり整理整頓が得意でなく、掃除もしたりしなかったりと、住環境を整えることにさほど意欲的ではなかった母親ですが、ここ数年、目に余るほど「物が捨てられない」状態になってきました。

 

まず玄関。ガラス戸を通してスーパーのポリ袋に入ったゴミがうずたかく積み上げられている様子がうかがえます。たたきのゴミ袋を蹴散らさない限り、母親は靴を見つけることができません。

 

廊下には新聞の山です。ちょっと前までは新聞店が毎月くれる収納袋に読み終えた古新聞を入れる意欲はあったものと見えますが、ここ数ヵ月はそれも億劫になったようで乱雑に積み上げられており、廊下を歩くたびにいくつかの山が雪崩のように崩れ落ちてきます。

 

G子さんは内心、古新聞の始末もできないくらいならもういいかげんに新聞を取ること自体、やめてしまえばいいのにと思うのですが、口には出せません。母親は新聞を隅から隅まで読むのを楽しみにしているからです。

 

洋服は寝室のタンスからはとうにはみ出し、リビングのソファーの上といわずダイニングの椅子の背もたれといわず、どこからどこまでも浸食しつつあります。

 

さらには雑誌、本、化粧品が床のあちらこちらに置かれ、足の踏み場もありません。当然、掃除機もかけられず、陽の光がまぶしいとかで窓もカーテンも閉め切った状態なので、常にほこりっぽく空気がよどんでいます。

 

このままでは衛生的にもよくないと思い、「一緒に片付けましょうよ」と再三母親に言うのですが、母親は「自分の家をどうしようと私の勝手でしょ? 私にとっては大切なものばかりなの。余計な口出しはしないで」と言うばかり。ガンとして受け入れようとしません。

 

もはやどこから手をつけたらよいのか分からない状態にあり、G子さんはこんなことになる前に、お互い若いうちに少しずつ一緒に片付けておけばよかったと途方に暮れています。

 

◆覚えておきたいトラブル防止策◆

 

高齢の親御さんのいる方は共感できるエピソードなのではないでしょうか。

 

子どもは親の家が片付いていないのを苦痛に感じます。そして無理やりにでも片付けさせようとしますが、まずは親御さんの気持ちに寄り添ってあげてください。

 

特に現在85歳以上の人は物心ついたときから戦時中で、思春期の真っただ中に終戦や戦後の物のない時代を経験しています。なんでも自由に物を買うことができる時代しか知らない子ども世代には分からない思いがある、ということを認識しましょう。

 

親の家が汚いとついついきつい口調で注意しがちになります。こちらが強く出れば、親のほうもかたくなになってしまいます。物への執着の裏にあるのは、将来への不安です。年金だけでは足りず、預貯金を切り崩す生活をしている人はなおさらでしょう。

 

大切なのは親の気持ちを察してあげること、そして共感を示すことです。少しずつ一緒に処分できるものは処分していきましょう。

 

それでもどうしても親が言うことを聞いてくれなくてゴミ屋敷の状態が続くのであれば、それはそれで親の生き方だと考えを変える柔軟性も必要でしょう。亡くなったあとに片付ければいいのだと割り切ることもときには大切です。

 

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竹内 義彦

幻冬舎MC

最後まで自分らしくより良く生きるための日々の活動である終活に、今、注目が集まっています。 終活で行うべきことは多岐にわたり、一人ひとり異なります。老後に起こるさまざまな問題に対して、自力でもれなく準備をするの…

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