日本人の平均寿命は延び続け、世界でも有数の長寿大国となりました。自身の「人生の締めくくり」について考える重要性が高まり続けています。「終活」にまつわるトラブルの実例とその解決策を「終活スペシャリスト」が詳しく解説します。

大切な家族につらい思いをさせない「事前準備」を

終活準備が足りていないと、どのようなトラブルが起こり得るのか、『「父に延命治療の希望を聞いておけば…」娘が抱く終活への後悔』『父の死に、内心「助かった」とほくそ笑んだ娘の悲劇【終活スペシャリストの実録】』に引き続き、具体例と予防策を見ていきましょう。大切な家族につらい思いをさせないためにも、必要な準備があるはずです。

 

●ケース1 「直葬の流れを調べておけばよかった!」

 

E男さんの父親の口癖は「俺の葬儀には金をかけなくていい。見栄なんか張らなくていいから、死んだら直葬にして、焼き場で家族だけで見送ってくれ」でした。75歳を目前にしたある日、父親は脳梗塞で倒れそのまま他界してしまいました。事後のいっさいは長男であるE男さんが取り仕切ることになり、本人の希望を叶えて直葬にしてあげたいと思いました。

 

直葬は葬儀や告別式を行わない葬儀だと、このとき初めてE男さんは知りました。自家用車で遺体を搬送することになりましたが、病院から「ご遺体をどちらに搬送されますか」と聞かれても、遺体をどこに安置すべきなのか、判断がつきません。父親が一人で住んでいた家はどの部屋もものが溢れています。布団を敷いて遺体を安置するのにふさわしい場所とはいえなそうです。

 

なにもかも葬儀社にお任せのケースとは異なり、お棺も自分で準備しなければならず、お棺に入った父親の遺体をどうやって火葬場に運ぶのかといった問題も出てきます。遺体が傷まないようドライアイスの手配も必要になります。

 

また、自治体に死亡届を出さないことにはそもそも火葬ができません。火葬場の予約も必要です。こんなになにもかも自分でしなければならないとは思ってもいませんでした。火葬場に連絡したところ、最近は亡くなる人が多くて空きがなく早くても4日後になると言われてしまいました。

 

とても直葬をすることはできないと感じたE男さんは、結局葬儀社に依頼し、シンプルなコースで父を見送ったそうです。父親が直葬にしてほしいと言ったときに、直葬について一緒に調べておけばよかったとE男さんは後悔したそうです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

◆覚えておきたいトラブル防止策◆

 

最近、従来の葬儀のスタイルが崩れ、シンプルな葬儀を望む方が増えてきています。今後もその傾向は続くことが予想されますが、葬儀のすべてを自力で行う「直葬」をやろうとすると非常な労力がいることに多くの人は気づいていないようです。

 

人が一人亡くなるというのは大変なことで、死亡届を出したり、遺体を搬送したり、火葬場を予約したりと短時間にしなければいけないこと、決めなければならないことが押し寄せてきます。葬儀社に頼めば全部うまく段取りをしてくれますから、喪主が動く必要はありません。

 

もし直葬を望むのであれば、なにをどうするか、どういう段取りで葬儀を行うのかを喪主となるであろう家族と生前によく話し合っておいたほうがいいでしょう。さもないとE男さんのように、喪主は「直葬」を断念してしまうかもしれません。いまは葬儀社に「直葬コース」を設けているところもありますから、パンフレットを取り寄せるなどして情報を集めておくようにしましょう。

 

自分の人生の締めくくりは、できれば自分で決めたいものです。自分がどういう葬儀を望んでいるのか、そのために自分が亡くなったとき、どういう葬儀社に頼みたいのか、あるいは頼まずに全部遺族にやってほしいのか、葬儀のためのお金はどこから出すつもりなのか、身近な人に伝えて準備をしておくようにするといいでしょう。

 

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竹内 義彦

幻冬舎MC

最後まで自分らしくより良く生きるための日々の活動である終活に、今、注目が集まっています。 終活で行うべきことは多岐にわたり、一人ひとり異なります。老後に起こるさまざまな問題に対して、自力でもれなく準備をするの…

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