日本人の平均寿命は延び続け、世界でも有数の長寿大国となりました。自身の「人生の締めくくり」について考える重要性が高まり続けています。「終活」にまつわるトラブルの実例とその解決策を「終活スペシャリスト」が詳しく解説します。

自身の死後「遺骨」をどうする?深刻なお墓の問題

●ケース2 「夫が生きているうちにお墓を買っておけばよかった!」

 

F子さんは5年前にがんで夫を亡くしました。子どもはいません。夫は山陰地方出身、F子さんは東北地方出身でともに高校卒業と同時に上京し、東京で知り合い結婚しました。2人とも末っ子だったので若いうちに親を亡くしており、それ以来郷里とは疎遠になっています。

 

F子さんはもともと内気で人付き合いが得意ではありません。上京した当初、東北訛りを笑われて深く傷ついたのも一因になっています。そんなF子さんにとって、穏やかで物静かで優しい夫は唯一の心を許せる人でした。夫はある日突然体調不良を訴え、病院で検査を受けたところ末期のすい臓がんと診断され、そのまま入院して1ヵ月で亡くなってしまいました。

 

F子さんは心の準備もなにもないままに、たった一人で夫を見送り、遺骨をどこに納めるべきか、考えが及ばず、家に連れ帰ってそのままになっています。

 

自分が死ぬまでお骨はこのままでいいと思っていたのですが、先頃家のなかで転んで足首を骨折して以来、考えが変わりました。もし自分が孤独死したら、夫と私の骨はどのような扱いを受けるのだろう、誰かに迷惑をかけることになるのではないかと思ったそうです。

 

そしてF子さんは、夫と二人一緒に永遠の眠りにつける場所が欲しいと思いました。しかし夫の実家とは疎遠になってしまっています。まさかいまさら「お墓に入れてください」とは言えません。自分がお墓参りに行くにも遠くで大変です。都内だと墓地は高くて手が出ません。夫が生きているうちに一緒にお墓について話し合っておけばよかった、誰か相談にのってくれる人が欲しいと思ったそうです。

 

◆覚えておきたいトラブル防止策◆

 

葬儀同様、お墓に対する考え方もここ10年ほどで大きく変わりました。お墓を作るとなると少なくとも200万円かかるといわれてきましたが、いまは樹木葬や合同葬などリーズナブルな墓地も多く登場しています。

自分が亡くなったあと、どこで永遠の眠りにつきたいのか、コスト的なことやお墓参りをしてくれる人がいるかいないかも含めて、考えてみてはいかがでしょうか。

 

お子さんがいる場合、お墓を継いでもらうことを前提にしがちですが、これからまだまだお墓に対する意識は変わっていきます。お子さんにとってはお墓の存在が負担にならないとも限りません。またF子さんのようにお子さんがいない場合、誰が継いでくれるかを気にせずに好きなスタイルのお墓が選べますね。

 

まずはどんなお墓があるのか、お墓に関する情報を集めてみるといいでしょう。

 

 

竹内 義彦

一般社団法人終活協議会 代表理事

終活スペシャリスト

 

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竹内 義彦

幻冬舎MC

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