退職が決定したスタッフに「給与を手渡し」する意味
①給与を手渡しにする
通常、振り込みにしている給与は、状況によって手渡しにすることを雇用契約書や就業規則に記載し、周知しておきます。スタッフは退職が決まってから給与が手渡しになることがあると知っていれば、退職する際にトラブルを避けるようになります。
②雇用契約書に退職の申出の期限を明記する
退職する際は、2~3ヵ月前に予告が必要なことを雇用契約書に明記しておきましょう(図表1)。スタッフが事前に相談してクリニックの状況をみて退職してくれることは、ほぼありません。通常、できるだけ早く辞めたがります。
逆に、半年以上前から事前に相談してくれるスタッフには、クリニックのことを考えてくれているわけですから、感謝の気持ちを伝えましょう。
また、雇用契約書だけでなく、面接時に口頭で伝えておきます。退職の申出をしてからすぐに辞めるつもりの人は、面接後、辞退してくれる効果があります。
もちろん、早く辞めて欲しいスタッフの退職の申出には、「いまは人手があるので契約書通りでなく、早期に退職して構いません」などと伝えます。
退職の申出があって、「契約書通り2ヵ月後に退職してください」と伝えても、「2週間前に伝えればよいという法律を知らないんですか?」と2週間後に退職しようとする人もいます。たとえ、2週間後に辞めたとしても、次の日から来なくなったとしても、給料は支払わなければいけません。
すぐに辞めたからといって給料を支払わず、元スタッフが労働基準監督署に相談をすると、労働基準監督署から連絡があり、「支払ってください」といわれます。それでも支払わなければ、是正勧告書を渡されます。極めてまれではありますが、悪質で同じようなことを繰り返す場合は、経営者が逮捕されることもあるようです。
スタッフの採用を急ぐ場合は、コストをかけるしかない
①相場よりも給料を高くして募集する
スタッフがすぐに辞めてしまって困っている場合、すぐに人を雇用するのに最も有効なのは、高い給与で募集をかけることです。その際は、他のスタッフの給与も上げる必要があります。当たり前ですが、相場より安いと応募が少なくなります。
②入職祝い金を設定する
相場よりも高い給与を払うのに抵抗があるなら、入職祝い金を設定して、一時的に募集を増やすことができます。半年勤めたら、5万円支給するなどの方法があります。
③人材紹介会社に依頼する
人材紹介会社に依頼した場合、採用したスタッフの想定年収の20%ほどを支払う必要があります。紹介会社によって規定は異なりますが、1ヵ月以内に退職すると80%、3ヵ月以内に退職すると50%ほどの返金があります。看護師の人材紹介会社は多数ありますが、医療事務の人材紹介会社はあまりありません。
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