「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。この「リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきるはず…。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

繰り下げ受給をやってはいけないケースとは

繰下げ受給に向いていない人もいる

 

繰下げ受給はどなたにもおすすめの制度、といいたいところですが、じつは不向きな人もいます。

 

年下の(とりわけ年齢差がある)妻がいる場合は、繰下げ受給をすると損になります。というのも、加給年金や振替加算を受け取れなくなるからです。

 

加給年金とは、家族手当のようなものです。

 

厚生年金に20年以上加入していた人が65歳になった時点で、65歳未満の配偶者または子どもがいるときに加算されます。

 

この加給年金には年齢制限があります。

 

配偶者は65歳を過ぎると打ち切られます。子どもは18歳到達年度の末日(1・2級障害者を除く)までとなっています。65歳で18歳未満の子どもがいる家庭はすくないのではないかと思います。

 

加給年金は年額22万4300円と、それなりに大きな金額になります。配偶者の年齢に応じた特別加算もあります。ところが、繰下げ受給を選択すると、その間は加給年金がストップされてしまうのです。とくに年が離れている場合は、大きく損をしてしまいます。そういうときは、基礎年金だけを繰下げ受給するという方法もあります。

 

また、夫が厚生年金加入者で妻が年下の夫婦は、妻だけを繰下げ受給にするといった形でもいいでしょう。

 

配偶者が65歳に到達すると加給年金は終了し、振替加算に変わります。

 

「振替加算」できる人の条件

 

もっとも、すべての人が加給年金から振替加算へ移行するわけではありません。

 

振替加算の対象者は大正15年4月2日~昭和41年4月1日までに生まれた人で、厚生年金・共済年金への加入が240月未満であることが条件です。

 

振替加算の金額は、年齢によって違います。

 

誕生日が昭和36年4月2日以降の人は、月額1252円(年額1万5024円)です。この振替加算も繰下げ受給をすると受け取れなくなります。しかし、金額は小さいので、さほど影響はないでしょう。

 

ただし、妻自身が20年以上加入した厚生年金を受け取る場合は、振替加算はつきません。

 

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