家庭教師のアルバイトを三十年近く続けられた理由
最初はお金のために漫然とやっていましたが、徐々に教えるコツや希望大学に合格させるコツをつかめるようになりました。
すると、「英語が一番苦手」と言って、テストをすると二、三十点だった生徒さんの点数がみるみる上がり、そのうち「英語が一番得意になった」と言って七、八十点も取れるようになったのです。最終的には、「英語のおかげで点数が取れて合格しました」と何人もの生徒さんから感謝の言葉をいただき、本当に嬉しくなりました。
お金よりも、生徒が変わっていくことや、私の特技を大いに活かしている充実感のほうが勝るようになったのです。この状態は、自分の強みを活かしているからこそ得られるものです。
仮に、私が特に自分の強みとは関係のない、別の形でお金を稼ぐことができたとしましょう。その場合、お金を手にするときは一瞬ご機嫌になるかもしれませんが、それがずっと努力を続けられる原動力になり得たかというと、やはり難しかったと思います。
「自分の強みを活かし、何かを達成している」こんな気持ちがあったからこそ、家庭教師のアルバイトを三十年近く続けられたのです。これは金メダルを目指しているアスリートを考えてもわかるでしょう。「金メダル」という遠い目標だけのために、毎日毎日、何時間も肉体を限界まで追い込むような辛いトレーニングを、数十年も続けられるでしょうか?
おそらく、そのプロセスで「今日は〇という技ができるようになった」「今日は記録が更新できた」「みんなに『すごいね』と言ってもらった」というような経験をしていることでしょう。それによって、競技をすること自体が楽しい、やりがいがある、何だかゲーム感覚になってきた、とご機嫌な状態になれるのではないかと思います。
夢が大きくなればなるほど、当然そのプロセスにはさまざまな困難があり、長い時間も必要になります。そうしたプロセスに、ご機嫌に取り組めるかどうかで、その結果が出るまでのスピードや達成度が全く異なります。
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