長女の主張:「兄はずっと優遇されていた」
「元はといえば、父さんの遺産分配から不公平だったんですよ」
D子さんは苦虫をかみ潰したような表情で言葉を続けました。
「父が亡くなった時、本来はきょうだいで1/4ずつだったところを、兄さんが2/5で、私が1/10でした。たしかに私は十分な稼ぎもあって、生活にも困っていなかったし。だからそのときは『母さんの面倒を見てくれるし、いいか』と納得しました」
D子さんは残業も多い職種に勤めており、年老いた母を介護する時間を取れそうにはありませんでした。加えて兄Cさんは実家暮らしだったので、その点においても好都合だったのです。押し付けているような罪悪感もあり、そのときは相続が1/10でも首を縦に振ることができたと言います。
「でも母さんは結局ずっと元気で、兄さんの負担はほとんどなかったそうじゃないですか」
それじゃあ、私が我慢した意味がないとD子さんは続けます。
「まったく感謝してないとはいいません。でも母さんが介護施設に入所するまで、洗濯や料理とか、家事は母さんに任せてたっていうんですよ。それってちょっとおかしくないですか?」
D子さんは共働きで、育児や家事も含めて夫と分担しています。また子どもの受験も控えており、これからお金がかかる時期です。
解説:きょうだいの相続争いを防ぐ、唯一の手段は?
兄弟の相続争いを防ぐ手段が1つだけあります。それは、親が生前に「遺言書」を書いておくことです。
有効な遺言書があれば、基本的には、
そのため「うちの子どもたちは揉めない!」と思っているあなたも、
その際には、遺留分を侵害していないか、
配慮不足の遺言書があることにより、
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