米国商業不動産担保付証券(CMBS)、高利回りコーポレート債券(HYB)及び融資債権のクラス別証券化(CLO)等の延滞状況は、米国内のワクチン供給加速により改善しています。今回は株式会社エー・ディー・ワークスの小川謙治氏が、米国不動産担保付ローンをベースとした上場不動産投資信託(モーゲージREIT[mREIT])、特に住宅ローン系上場不動産投資信託の現状について考察します。

エイジェンシー型住宅ローン系上場不動産投資信託の典型的なビジネスモデルなのですが、MBSの再買取契約に基づき資本市場から短期で資金調達しMBSのような証券に長期運用を行っています。現在のような、長短金利のイールドカーブが立っている、短期のゼロ金利政策持続とともに、インフレ懸念がある状況では十分に金利差を享受することができるのです。

 

たとえば、アナリー・キャピタル社の2021年第1四半期決算数値によりますと、運用と調達の金利差が3.39%(前年同期比+3.21%)まで拡大しています。

 

この数値を分解しますと、運用側で3.76%(前年同月比+1.85%)の利回りを享受する一方、調達側で0.42%(前年同月比-1.44%)のコスト削減を実現しております。ただこの一年で経済的なレバレッジがやや緩やかになっております(前年同月の6.8xから6.1xに低下)。とはいえ、エクイティに関わる利回りは9.3%から12.5%に上昇しました。

今後「mREIT株価」の一辺倒な上昇は期待できない

5月7日に発表された4月の米国雇用統計では、雇用者数の市場予想を大きく下回ったために、長期金利が低下しましたが、mREITにおける運用/調達の利回り差は永遠に継続するわけではありません。

 

5月の初めにイエレン財務長官が暗号資産/不動産/株などの資産価格の割高感に警鐘をならしたことは記憶に新く、量的金融緩和に対するテイパリングも早ければ年後半には示唆されるとの市場の噂もあって、この1年で辿った株価上昇一辺倒のようなmREITの株価上昇は今後は期待できないものと考えております。

 

(本記事の内容は筆者個人の分析・見解です。)

 

 

小川 謙治

株式会社エー・ディー・ワークス

金融商品開発部 ディレクター

 

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