かつては10%あった銀行金利も、いまや0.8%前後に
ついに、NZの銀行定期預金の金利も1%を切り、0.8%前後となりました。金利で生活費を得ていた資産家は、やっていけない状況です。次の収入源を求め、不動産投資へと全面シフトをする人が増えています。本来的には、資産運営の中心として不動産投資をする人が多かったのですが、住宅の高騰が続き、買うには至らなかった人たちは、銀行預金金利が高かったこともあり、預貯金としていたのです。
しかし、金利が10%もあったのは過去の話です。その後8%になり、5%になり、3%なり今は、1%以下。この20年でジェットコースターのように下降してしまいました。
もともと移住者の増加による住宅不足のため、勢いがある不動産業界ですが、2018年10月以降、外国人の中古物件購入に規制がかかり、一時期マーケットが冷え込んだかに思われました。しかし、現地や海外に住むNZ人たちの投資は変わらず盛んであり、不動産業界は依然としてホットなままです。
昨年からはコロナの一件で、海外からの帰国者も増えました。やはり商業の街、経済の中枢のオークランドゆえ、住宅は高騰しつつも、マーケットの動きは早く、地方から参入する不動産投資者が増えている様子が見て取れます。
筆者のところにも不動産業者からの問い合わせメールが頻繁にあり、オークランド以外では、ウェリントン、クライストチャージ、ロトルアからの相談があります。その一方で、逆にオークランドを出て、地方へ移住した業者からも問い合わせがあったりします。どこに住んでもパソコンひとつで業務が成り立つ仕事だからこそなのでしょう。
億単位でオークランドの家を売って地方へ行けば、広い家を半額で手に入れることも可能ですから、家族の希望が合致すれば、必ずしもオークランドに住む必要はないのです。いままでは、オークランドの中心から離れた郊外に家を買い、お得に暮らすのがひとつのトレンドでしたが、さらに思い切って県外へ行くという傾向も目立ってきているようです。
住宅の国内平均額が83万NZドル(約6500万円)となり、オークランドの中心部は、平均150万NZドル(1億2000万円)です。ちょっといいなと思える家は、100万ドル(約8000万円)する時代となり、ファーストホームバイヤーには、なかなか手が届かない状況にあります。
それでも、夫婦共稼ぎで銀行低金利を利用して購入できる物件を上手に探し出し、不動産投資を実現する若い世代も目立っています。不動産コンサルタントをうまく利用して情報を仕入れ、お得な物件探しする方々の期待に沿えるよう、筆者たちも日々アンテナを張っているのです。
NZから、故郷・日本のいち早い回復を願って…
以上が、コロナ禍の1年を経た現在のニュージーランドの状況です。
ニュージーランド人及び在住者は、人との接触を控えて冠婚葬祭も全面禁止、親子であっても同居していない家族との面談は一切避けるなど、家々をシャボン玉にたとえ「バブルを破壊しないよう」一戸一戸の家族で行動・不必要な外出は避けて、過ごしてきました。
その効果があって、いまは普通に生活できています。ここオークランドは、移住者が多い街なので、世界中の人が暮らしています。それぞれの母国の状態を心配し、飛んでいけないもどかしさを皆持ちながら、生活している実態があります。
幸い、隣国のオーストラリアと南太平洋との開港が開始され、徐々にではありますが、人の流れが進んでいます。いち早い日本への開港も期待しています。
本記事の本筋とは離れてしまいますが、日本のニュースを見ておりますと、街に人があふれている様子に、心配が募ります。国外とのやり取りができなければ経済が回らないのは自明でありますが、通常の生活が戻せるよう、一旦リセットといいましょうか、いろいろ課題を抱えながらなのは承知ですが、まずは止めては…と思っています。
自然災害が起これば、否応なく流れは止まります。それと同様に考え、一旦動きを止め、一週間でも自宅にこもって感染を抑制してはいかがでしょうか。ネット環境を生かしたビジネスの方法もあるかと思います。簡単でないのは十分承知ですが、うまく人の流れを止め、感染者数を抑え、いち早い日常の復活を目指していただきたい。
日々、ニュースで日本の状況を知るにつけ、感染者数や死亡者数の数値が淡々と読み上げられるなか、そこに愛する家族や大切な友人、ましてや自分自身が含まれるとしたら…。どうかこれまで通り、安全に暮らせる日本であってほしいと思います。
筆者たちが暮らしているニュージーランドのオークランドの普通の生活を、早く日本の皆様にも取り戻してほしいという願いを込め、今月はペンを取りました。速やかなコロナの収束を願っています。
一色良子
ニュージーランド在住不動産エージェント
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