コロナ禍で労働環境の悪化が懸念される教育現場。SNS上には教師たちの悲痛な叫びが溢れています。そんな教師たちの現状を、日本と世界を比べて見ていきます。

OECD調べ…最も「教師の給与」が高い国は?

安定性でいえば公務員の教師は確かに魅力的かもしれませんが、給与面で民間企業とそれほど大差のない状況で「教師は魅力的な職業です」「ぜひ教師になりましょう」と声高らかにいうのは、少々難しいことでしょうか。

 

給与面でも魅力が薄い日本の教師ですが、世界的にはどうなのでしょうか。OECD(経済協力開発機構)のデータから、公立小学校教師の給与(2019年の年間給与)を見ていきます。36ヵ国のなかで、最も高いのが「ルクセンブルク」で10万2630米ドル。2位が「ドイツ」で7万7637米ドル。「オーストラリア」「オランダ」「カナダ」と続きます。

 

■世界の小学校教師年収(2019年)

1位 ルクセンブルク 10万2630米ドル

2位 ドイツ 7万7637米ドル

3位 オーストラリア 6万4926米ドル

4位 オランダ 6万4867米ドル

5位 カナダ 6万2380米ドル

6位 アイルランド 5万9048米ドル

7位 デンマーク 5万7858米ドル

8位 韓国 5万6587米ドル

9位 ベルギー 5万490米ドル1

10位 オーストリア 5万3952米ドル

 

出所:OECD

 

日本は第13位で4万9113米ドル。先進7ヵ国で比べると、「ドイツ」(2位)「カナダ」(5位)「イギリス」(11位)「米国」(12位)に次いで5番目。ちなみにOECD平均は4万4738米ドルで、日本は平均値より高い給与水準です。

 

第1位の「ルクセンブルク」と比較すると2倍以上の差がありますが、世界的にみて、日本の教師の給与は低いわけではなさそうです。

 

それにも関わらず、2020年度採用の公立小学校教員の採用倍率が全国平均で2.7倍と、過去最低を記録。萩生田光一文部科学相が「教師の人材確保と質向上の両面から、教師の養成や採用などの制度について検討を進める必要がある」と言及しました(関連記事:『都道府県「教員採用倍率」ランキング…低倍率で問題の県は?』)。しかし、SNS上にある教師の声を見る限り、まずは学校の働き方改革が急務といえそうです。

 

 

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