「子どもに教師や学校の悪口を言わないでほしい」
少し話は変わりますが、私が保護者の立場に立って考えることが大切だと思えたのは、自分の子どもが生まれたとき、妻が全身を包帯に巻かれ、身動きも取れないほどの大病を患い、しばらく家事を行うことがあったからです。
休日は朝起きてから、「すぐに洗濯機を回そう、その間に子どもたちの朝食を準備して、たぶん朝食を食べ終わる頃に洗濯が終わるから干しに行って……」なんていうプランを立て、最速でそれをこなそうとするのですが、子どもが一緒に遊ぼうと誘ってくれたり、朝ご飯をこぼしたり、常に予定外のことばかりが起こるのです。
可愛いわが子とも一緒に遊びたいけど家事もしなきゃという板ばさみ……。家の中には、この大変さに共感してくれたり励ましてもらえたりする大人もいません。上手に休憩はとりますが気持ちの面では起きている間は休みなしでした。平日でも、朝方の4時から泣く息子を背負ってあやし、そのまま寝ずに仕事に行ったこともあります。
このように、基本的にはがんばっていない親なんていないのです。保護者の立場に立ち、普段見えない部分でのがんばりを認めあうことができれば素敵です。
余談になりますが、私は主婦の家庭内での働きを時給換算して、一家の稼いでくる人は給料を払うくらいの気持ちが大切だと思います。「子育て」という立派な仕事です。男も一度は家事育児を経験すれば、多くの母親が一生懸命であることがわかるし「誰のおかげで食わせてもらっているんだ」とは言えないはずだと思うのです。
教師と子どもは、数年の付き合いですが、保護者は、とりあえず成人するまでの20年以上を付き合っていくのです(もちろんそれ以降もですが)。そこに尊敬の念をもちつつ、協力していけば、「モンスターペアレント」という言葉は今よりもぐっと減ると思います。
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熊谷 雅之
愛知県の公立中学校、高等学校を卒業し、創価大学へ進学。
大学では、ダンス部に所属し、数多くの全国大会で入賞。教員採用試験は中学校社会科で受験し、東京都と愛知県で現役合格。そして地元愛知県で教員となる。
その後は、市内の教育論文コンクールで最優秀賞を受賞。
2020年現在34歳。地元の教育者グループ「本物の先生」に所属し、子どもの幸せを第一に考えた教育の実現を目指している。
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