成績が上がる子、上がらない子の差は「習慣」にある
聞いていない子はテキストのページをめくったり、何かを整理してみたり、あるいは明らかにほかのことを考えています。成績の上がる学生、分かってきた学生はそういうポイントでこそぐっと引きつけられるのです。そのように目つきが変わる学生は、その時の成績がページをめくったりしている学生と同じでも、最終的には必ず成績が伸びてきます。
30年以上も教職に就いていると、その違いが本当によく分かるようになります。また、これはある意味、習慣の問題でもあります。
たとえばグラフがあります。頭がいい子供、あるいは成績が伸び始めた子供は、必死になってそのグラフを見ます。それこそ隅から隅まで、横軸も縦軸も必死に見るのです。もちろん、問題文もじっと見つめます。のめり込むのです。その集中力が大切なのです。
そういう習慣がない子供は、いい加減です。いったんはじっと見て、のめり込もうとするのですが、すぐに力が抜けてしまう。集中力が続かずに、途切れ途切れになってしまうのです。それは、観察していて分かります。目の前の問題に集中し切れずに、違うことを考えだすのです。
「そうだ、このプリントをノートに貼ろうか」とか、「あれ? さっきの問題は……」とか、「何時かな?」とか、「あの人、咳をしている」とか。もちろん遊びのことや彼女や彼氏のことを考えるなどは話になりませんが、ともかく目の前にある問題以外のことに、いわば頭が泳いでしまう。それが成績にまで結びついてしまうのです。
そこに気づかずに、叱咤激励しても意味がありません。よく教師の言う「やればできる」と無責任に言っても何にもならないのです。本人がいくらやろうとしても、無意識に頭が泳いでいるのですから。つまり、問題に集中する力が足りない。すべては習慣ができていないからです。それが、成績が上がらない根本的な原因なのです。
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